彼方の蒼
 ――堀芝サンが才女なのはよーく知ってるよ。
 カンちゃんも僕も、小学校からいっしょだったもんな。テストのとき、よくクラスの最高点、取っているもんな。

 優秀なヤツは、カンちゃんも含めてみんな塾に行っている。
 なのに堀芝サンは、学校で習ったことと自主学習だけで学年ランク十位内外をずっとキープしている、って噂のつわものだ。
 学業において華やかな戦績を残し――それでいて、なぜか地味。
 なんでなんだろう……これだけ勉強ができるヤツって、みんな放っておかない。生徒会役員だったり、学級委員だったりするのに、堀芝サンはその手の役に就かなかった。
 存在感がないというか、気配が薄いというか、要領がいいというか。

 今だって『男のなかに女がひとり』っていう状況なのに、別段やりにくそうでもない。
 男子となかよく話をするタイプでもないのに、その落ちつきはなんなんだ?

 それからもう一点――カンちゃんと、どういうつながりがあるんだ?
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