すきなひと
私がお風呂から出ると、凌さんはすでにベットのなか。


ベットでさえお姉ちゃんと二人で選んだものだった。


せめてもの救いは、未使用だったこと。


彼を起こさない様にそっと身体を滑らせた。

背中を向けていた彼が、こちらを振り返ると、急に覆い被さって来た。


「俺は君を愛していないし、これからも愛することは無いだろう。
ただ、家の為に子供がいる。その為に、俺は君を抱く」


私は結婚初夜に、

夫となった人に愛さないと言われた。


それでも拒まないのは、私が彼を愛しているからだ。

お姉ちゃんを越えることは出来ない事は分かり切っていたからだ。


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