第00夜
狭い教室の中、今二人で逃げては背中を襲われてしまう‐。
明葉は美由を逃がそうとしていた。
「日野さん…!?」
「大丈夫…明日、又学校で! …早く、あっちのドアから!」
美由は迷った様子の後、化物とは反対側の扉へ駆け出した。
化物の頭が美由を向く。
明葉が、ソコへ椅子を投げつけた。
「来て!」
化物が再び明葉を向く。
力を入れて投げたつもりだが、怯む様子は全く無かった。
化物が明葉へ動き出す。明葉は、後じさりする以外無かった。
後ろへ転びそうになり、背中が窓際まで追い詰められた。
「………ッ」
コレが死の夢‐?
私は、美由の夢の中で死ぬ?
「そんな事無い…」
明葉は無理矢理、唇を動かした。
それを合図にするように、化物が明葉に突っ込んで来た。

明葉は悲鳴を上げた。

激しい衝撃が襲う。
明葉の体は化物に吹っ飛ばされ、教室の窓を突き破った。
そして、校舎の外広がる闇の底へ落下してゆく。

一瞬か永遠か…。

落下感の後、明葉の体は仰向けで何処かに叩きつけられて止まった。
激痛で、今度は意識が遠ざかる。
歪む視界を閉じてゆく明葉の姿を、金網が受け止めていた‐。
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