第00夜
扉は軋んだ音を立て、ゆっくりと開いてゆく。
その先に広がっているのは‐。
「………」
当然、夢で出会ったような真白い世界ではなかった。
空は暗い雲に覆われ、屋上の一面その陰りを映すような灰色の床が広がっている。
そして、人気は感じられなかった。
「誰も、居ないよね…」
明葉は数歩踏み出し、屋上の景色を見回した。
あるのは遠くから流れてくる喧騒くらいで…やがて、明葉は屋上の空間に背中を向けた。
「お前、俺がわかるのか」
明葉が階段を下りようとした時、突然声がした。
「………!」
驚いて振り返る。明葉の前には、黒い学生服の少年が、屋上の柵に寄りかかり立っていた。
無人であったはずの屋上で明葉が出会ったのは、夢の中の少年‐。
「あ、あなたは…」
明葉は只驚くばかりであった。
何か言おうと思って言葉を探すが、上手く出て来ない。
「悪い夢でも見てるんだろう?」
続く少年の言葉が、明葉を更に混乱させる。
「どうして…。私、あなたと夢で会った。…あなたも『死の夢』を見てるの?」
疑問を吐き出す明葉の言葉。
「お前が勝手に、俺の夢に入って来たのさ」
少年は嘲りのような表情で返す。
その先に広がっているのは‐。
「………」
当然、夢で出会ったような真白い世界ではなかった。
空は暗い雲に覆われ、屋上の一面その陰りを映すような灰色の床が広がっている。
そして、人気は感じられなかった。
「誰も、居ないよね…」
明葉は数歩踏み出し、屋上の景色を見回した。
あるのは遠くから流れてくる喧騒くらいで…やがて、明葉は屋上の空間に背中を向けた。
「お前、俺がわかるのか」
明葉が階段を下りようとした時、突然声がした。
「………!」
驚いて振り返る。明葉の前には、黒い学生服の少年が、屋上の柵に寄りかかり立っていた。
無人であったはずの屋上で明葉が出会ったのは、夢の中の少年‐。
「あ、あなたは…」
明葉は只驚くばかりであった。
何か言おうと思って言葉を探すが、上手く出て来ない。
「悪い夢でも見てるんだろう?」
続く少年の言葉が、明葉を更に混乱させる。
「どうして…。私、あなたと夢で会った。…あなたも『死の夢』を見てるの?」
疑問を吐き出す明葉の言葉。
「お前が勝手に、俺の夢に入って来たのさ」
少年は嘲りのような表情で返す。