私のちょっとだけ好きな9文字の人




スパイクを磨きながら住岡が言う。




「もしかしたら、レギュラーのMF、神崎(かんざき)さんをFWに上げて、空いたところにMFの高橋さんを入れるってこともあるだろ」




たしかに、神崎さんは、FWもできる。




「ま、たしかにそうかもしれんけど、まだわからんやん」




「少なくとも」



住岡がスパイクを磨き終え、振り返る。




「俺はそっちの方がええと思う」




ははは・・・
まあ、そうですよねー




「ちょい待てや!」




高柳が住岡の胸ぐらを掴む。




「ちょっとくらい、京介を期待してもええんやないか!?」




高柳を睨む住岡。
大島と俺は呆然と見ている。




「サッカーは遊びじゃねえんだよ。なかよしこよしでするもんじゃねえ」




「そうやとしても、チームメイトを信頼せえや!」




「信頼?」




住岡が俺を見る。




「FWなのに、点を取ったこともないこいつを信頼できると思うか?」




「お、お前!!」




高柳が殴りかかる。




パンッ!!





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