私のちょっとだけ好きな9文字の人
住岡が殴られる音が響く。
しかし、殴ったのは高柳ではなく、大島だった。
「いい加減にせえよ。お前、何も京介の前で言うことやないやろ」
住岡が顔をそらす。
「高柳。お前も言い過ぎで?」
高柳も顔をそらす。
「サッカーは、そんな甘いもんじゃねえんだよ。甘くねえ」
住岡は、高柳の手をはらって言った。
「それと、高柳。お前、京介のことになるとすぐ感情的になるな。好きなんじゃねえの?」
高柳が顔を赤くする。
「は、はあ!?何言ってんねや!」
住岡はスパイクを履いてグラウンドへボールを蹴りに行く。
住岡があんな風に思っていたこと。
いつも何も考えてないような大島があんな行動をとったこと。
そして、
高柳が俺のことを好きかもしれないということ。
俺は、レギュラーをとれるかもしれないということよりも
驚きを隠せないでいた。