私のちょっとだけ好きな9文字の人
当たり前のこと、大事なこと
大会前最後の練習が終わって、
俺は家への帰り道、一人、安出川にいた。
あの事件以来、3年生のチームワークはめちゃくちゃだった。
住岡と高柳は口を利かない。
大島も元気がない。
俺はというと。
ずっと上の空だった。
住岡に言われたこと。
大島のとった行動。
そして、何より高柳のこと・・・
高柳は「あれは住岡の勝手な思い込みやけん、気にせんでええけん」
とは言っていたが。
高柳は、俺に対して
変に気を回すことは気づいていた。
ガイヤに出ることをクラスのみんなに呼びかけたり、
相生に俺のガイヤの練習を見てもらえるように頼んでくれたり、
俺が西田とのことでクラスの女子から噂されていたところを怒ってくれたり、
ああ言ってはいたけれど
高柳は本当は、俺のことが好きなんじゃないだろうか。
高柳翔子。
ショートカットで顔は可愛い。