私のちょっとだけ好きな9文字の人
「エリーゼのために」が流れて数分後、
新しい先生が教室にやってきた。
女の先生で、歳はそれほど若くはないようだ。
30代後半から40代はじめといったところだろうか。
「えー、今日から3-2の担任をします、雪石 玲子(ゆきいし れいこ)といいます。みなさんと楽しく勉強したり、給食食べたり、遊びたいなと思います。よろしくお願いします」
ベテランの先生だろう。
そんな風格をもっていた。
「じゃ、これから出席をとるので、元気よく「はい!」って返事をしてください」
名前をどんどん読み上げていく。
「えーと、次は、女子ねー。1番、相生真希さん」
「はい」
相生?
聞いたことがある名前。
たしか、2年生の時にぶつかった優等生の女子。
まさか、同じクラスになってたとは。
それに、しばらく見ていなかったせいか、あの時と比べて
格段に可愛くなっている気がする。
いや、気のせいなんかじゃない。
本当に可愛い。
見ているだけで吸い込まれそうな
綺麗な目。
何だろう、この感じ。
相生が返事をし、席に着いた瞬間、俺と目が合った。
ような気がした。