私のちょっとだけ好きな9文字の人
そうして思いっきり泣き終わると
すがすがしかった。
何かに対してこんなに全力で一生懸命やったことって
今までになかったと思う。
バスの中、俺たちはただ無言で
各々バスの、外の風景を見ていた。
大きな川。
スーパーの駐車場。
道路沿いを走る子供。
夕焼け。
すべてが綺麗に見えた。
素晴らしいものに見えた。
「そういえばさ」
大島が口を開いた。
「今日の京介。なんか別人みたいやったな」
「せやったなー!"顔を上げろぉぉ!"って叫んだときはびっくりしたわー」
高柳も話題に参加する。
「いやいや、それだけやなくて、プレーも上手かったよな」
「せやなーあの左足のシュートにはビビったわ。京介、左足蹴れたんやなー」