私のちょっとだけ好きな9文字の人
俺は今日一日中そのことで頭がいっぱいだった。
俺が授業中に当てられても気づかなかったことや
休み時間、ケシバトに参加せず、一人で座っていたこと、
給食を半分以上残して先生に怒られたことを不審に思ってなのか、
昼休み、住岡が俺のとこにやってきた。
「どしたん?今日、元気ないやん?」
「まあ、いろいろあるんよ」
「ふーん、恋の病か」
一瞬動揺した。
「そ、そんなんやないって!」
「そんなにムキになんなよー」
まあ、でもあながち間違いでもない。
「まあ、悩んどるんなら相談に乗るけんね。俺たち友達なんやけん」
友達。
その言葉が嬉しかった。
女子には人気なくても俺には友達がいる。
それだけでなんだか少し落ち着いたような気がした。
「ありがとうね」
俺はもう一度決心した。
今日、琴吹にちゃんと謝ろう、と。
悪いことをしたら謝る。
それしかない。