私のちょっとだけ好きな9文字の人





「理子ちゃんの家に明日の予定表と授業のプリントを届けてほしいんやけど、誰か理子ちゃんの家の近くに住んどる人ー?」




今日は「琴吹」というワードが出てくるだけで
ドキッとする。




「先生!私の家、近くなんで届けましょうか?」




「そう?なら、あずさちゃん、よろしくね」




西田あずさ。
この人も相生のグループの一人で、給食を食べ終わるのがクラスで一番早い。




そうか。
俺もお見舞いに行くと言って、西田について行けばいいのか。




「先生!俺、琴吹さんに借りてたノートを返さないといけないんで、西田さんについて行ってもいいですか?」




これなら怪しまれずに行けるはずだ。




「それならあずさちゃんにノートを預けたらいいんやない?」




ここは粘る。




「いや、やっぱり直接返す方がいいと思うんで・・・」




「うーん。たしかにそっちの方がいいんやけど、今ってほら、集団下校せんといけんやろ?帰り道に京介くん一人にはさせられんけんねー」




そうだった。
くそ。変質者め。




「いや、でも・・・」




言い返す言葉を探す。




投了寸前だった。




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