私のちょっとだけ好きな9文字の人





そう言ったのは、香恋と仲が悪い、高柳だった。




「うちも差、つけれんかったしなー」




「そうで、恋ヶ窪。俺もスタートダッシュ遅れたし」




そう大島もフォローする。




「私もバトンパスミスしちゃったし、ごめんね」




そう頭を下げる相生。




「俺があの後抜けばよかったんよなー」




考え込む住岡。




「みんな」




俺が心配しなくても、
もう、俺たちはちゃんとチームになっていた。




俺だってそうだ。
アンカーなんて言って何も仕事できていなかった。




俺だってもっと速く走れた。
どこかで諦めていたんだ。




俺は息を整え、みんなに言った。




「安心しろ。本番は何があっても俺が1位で帰ってくるけん」




勝負には負けたが、みんな不思議と笑顔だった。




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