私のちょっとだけ好きな9文字の人




「ちょ、ちょっと待って?私、熱があって今日、休んだんよ?」




「え?」




「薬飲んで寝たら下がったんやけどね。ってか、それ言うためにわざわざ来てくれたん?」




「・・・・」




琴吹は笑っていた。




「それに、そんなん私、気にしてないよ?実際、和くん、気づいてないんやろ?」




「え、まあ・・・」




「なら全然いいやん。藤原くんって意外と心配性なんやね」




また笑われる。




「あれ?理子、まさか和くん好きなこと、藤原くんにも言ったん?」




「うん。昨日ねー」




「あれ?西田も知っとったんや」




「うん。ってか、他の女子も何人か知っとる人、おるよー」




たしかに西田が知っていてもおかしくない。
俺はてっきり俺しか知らないもんだとばかり思ってた。
だが、よくよく考えれば話したこともない人だけに
自分の好きな人を言うわけがないな、普通。
そういえば、そうだ。



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