私のちょっとだけ好きな9文字の人




何を聞いているんだ、藤原京介。
いくら話題はないとはいえ、この沈黙の気まずい状況で
よりによってこんな気まずいこと聞くか、普通。




「・・・んーちょっとだけ気になる人はおるかな・・・」




西田はそう言った。
ちょっとだけ気になる人?




「それって誰?」




俺はただ純粋に気になった。
礼儀正しく、真面目な西田あずさ。
わりと古風な感じの子で、長い黒髪が似合う。
男子の中にも西田のことが好きになる人だっているだろう。




「それは・・・」




と、西田が言いかけた次の瞬間、西田は、そばにあったクマの人形を掴み、
部屋の扉に向かって投げた。




「わっ!」




扉の隙間から声がした。




「お姉ちゃん、帰ってきとんならノックぐらいしてや」




「あー、ごめんごめん。いやー、あずさが男の子連れ込んどったけんさー」




そう言って、扉から入ってきたのは西田のお姉さんだった。




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