私のちょっとだけ好きな9文字の人
にぎやかな車中。
あれから郁美さんのおしゃべりレース。
西田のあれだこれだを言ったり、俺のことを聞かれたりと
それはもう大変だった。
そして、西田のお母さんが帰ってきて、車で送ってくれることになったんだが、
西田はともかく・・・
「おーい、京ちゃん家って安出川(やすでがわ)の近くなんよねー?」
「はい。一応、目の前に流れてますけど」
「なら、家から川の流れとか聞こえてくるん?」
「まあ、聞こえますね」
なぜ郁美さんまで付いてきたんだろうか。
車が家の前に着いた。
ちょうど母さんが0歳の弟、浩太と買い物から帰ってきたところだった。
「ほんとご迷惑おかけしました。ほら、京介もお礼言いなさい!」
「ありがとうございました」
「いえいえ、また遊びに来てね?」
西田のお母さんはにっこりと笑い、そう言ってくれた。
俺と母さんは嵐のような車が去っていくのを見送った。
俺は何とも言えない、疲れが出てきた。
早く風呂に入りたい。
「母さん、風呂沸かしてー」
母さんはそれには答えず
「早く家に入りなさい」
とだけ言った。