私のちょっとだけ好きな9文字の人





にぎやかな車中。




あれから郁美さんのおしゃべりレース。
西田のあれだこれだを言ったり、俺のことを聞かれたりと
それはもう大変だった。




そして、西田のお母さんが帰ってきて、車で送ってくれることになったんだが、
西田はともかく・・・




「おーい、京ちゃん家って安出川(やすでがわ)の近くなんよねー?」




「はい。一応、目の前に流れてますけど」




「なら、家から川の流れとか聞こえてくるん?」




「まあ、聞こえますね」




なぜ郁美さんまで付いてきたんだろうか。




車が家の前に着いた。
ちょうど母さんが0歳の弟、浩太と買い物から帰ってきたところだった。




「ほんとご迷惑おかけしました。ほら、京介もお礼言いなさい!」




「ありがとうございました」




「いえいえ、また遊びに来てね?」




西田のお母さんはにっこりと笑い、そう言ってくれた。




俺と母さんは嵐のような車が去っていくのを見送った。




俺は何とも言えない、疲れが出てきた。
早く風呂に入りたい。




「母さん、風呂沸かしてー」




母さんはそれには答えず




「早く家に入りなさい」




とだけ言った。




< 36 / 392 >

この作品をシェア

pagetop