私のちょっとだけ好きな9文字の人
一変した生活
あれから母さんは何もなかったかのように普通に接してくれた。
今朝もいつも通りに起こしてくれて、朝食を作ってくれて
「最近、高瀬くんとは遊んだりしとん?」と
どうでもいい話題だったけど、会話もしてくれた。
そのおかげなのか、琴吹の件が解決したからなのか、
学校への足取りは軽快だった。
むしろ、ニヤニヤしながらスキップしてたら、
登校班の6年生の女子に「ちゃんと歩いて」
と注意されたほどだ。
学校に着くと、川田が待ってましたと言わんばかりに、
俺のところに寄ってきた。
「見ろ!この新しい消しゴム。これは結構強いぞー」
見ると、車の形をした消しゴムだった。
車輪の部分はプラスチックでできていて、走ることもできる。
俺はかばんをおいて、相手してやる。
たしかに走るが、当たってきてもびくともしない。
「これのどこが強いんだ?」
「ふっ、まあ、見てろ」
そういって川田は車の部品を分解し始めた。