私のちょっとだけ好きな9文字の人
「あ、よろしくね」
相生が頭を下げる。
「よ、よろしく」
俺もつられて頭を下げる。
よく考えてみればこれが相生との二回目の会話だった。
一回目は、相生が俺の頭に乗ってきて、謝るだけの会話だった。
それに、まだ相生のことを気にも留めていない時期。
あれから一年。
ようやく、相生と話をする機会が巡ってきた。
これは、高柳に感謝だ。
「じゃ、初めからやってみよっか」
「あ、えと、うん」
相生と隣同士で踊る。
シャンプーの香りが香ってくる。
俺の汗のにおいとか大丈夫だろうか。
「あ、ここは、太鼓をたたくみたいに手首を振って・・・」
相生は教え方も上手かった。
さすが、クラスでトップレベルの成績だ。