私のちょっとだけ好きな9文字の人
高柳が頼りにならない今、
そういうことを気軽に聞けるのは、一人しかいない。
以前、「気になる人」はいるって言っていた西田あずさ。
俺は、休み時間に次の授業の準備をしていた西田に「好きな人がいるか」聞いてみた。
「藤原くんはおるん?」
「んー、わからんのんよねー。その、好きとか、嫌いとか・・・」
「そっか・・・」
西田は、理科の教科書の表紙の
カエルの写真をじっと見ている。
「ねえ、もし藤原くんのこと好きって人がおったらどうする?」
「え?」
俺のことが好きな人?
それも考えたことがなかった。
好きっていうのがどういうものかもいまいちわかってない。
それに、ちょっと前までは、俺は女子から嫌われていると思っていた。
そうじゃないとなんとなくわかってきたところで、そんなことを言われても
わからない。
「うーん・・・どうやろ・・・わからん」