私のちょっとだけ好きな9文字の人
二つの「コタエ」
思い出した。
5歳の時、俺は広島に住んでいた。
そこで、有希お姉ちゃんたち家族とプールに遊びに行った。
そしてあの日、俺は確かに女の子と会っていた。
それが西田だったなんて。
「だから、藤原京介って名前聞いたときはびっくりしたんよ。あ、あの時の男の子だって!」
世間は狭いな。
高瀬の事といい、西田の事といい。
けど、そんな昔のことを覚えているなんて
西田は本当に俺のことが好きだってことは
伝わった。
「でもね、もういいんだー」
「いいって何が?」
「京介くん、他に好きな人、おるやろ?」
な、なんで知ってるんだ?
「なんで知っとん!?って思ったやろ?」
「な、なんでわかったん?」
「顔に書いとるよ」
西田は笑って俺の顔を覗き込んだ。