印毎来譜 「俺等はヒッピーだった」
1972年5月25日 リンカーンユースで8時に起きた。
きのうまで暖ったかかったのに、きょうはやけに寒い。
食堂行ったら、ストラドフォードで一緒だった
アメ公のスコットが寝てる。
おお、久しぶりじゃん どうしたのよ?
「いやあ、お前も居たのか。久しぶりだな。俺もきのう
着いたら満員でさ、食堂で寝かせてもらったのよ」
そうか、よっしゃ、一緒にフェス行こうぜ。
ところで、相棒のハップはどした?
「奴とは今晩、フェスの会場で落ち合うことになってる」
じゃあ、飯食ったら出発しようぜ。
スーパーで食糧仕入れて、バスで会場のバードニーへ向う。
バスはヒッピーで満員。 フェス客貸切状態。
さあ、ついにやってきました、リンカーンフェス!
なんたって、これから5日間だ、体力勝負だぜ。
バカでかい公園がヒッピー村になった感じの会場。
まず場所確保だ。 もうテントは千個以上できてる。
前の方の、空いてる場所をやっと探してテント張った。
しかし、雨で寒い。道はグチャグチャ、人はごちゃごちゃ。
スコットが、ちょっと行ってくるって・・・。
すぐに、黒人の小僧を連れて戻って来た。 売人だ。
とりあえず、ハッシュを50ペンス、グラスも50ペンス、
それとエルが18粒で1ポンド。
お前さ、少しは負けろよ。
「いやなら売らねえよ」
しょうがねえ、全部くれ。 テントの中は闇市となった。
さあ、小雨だし一回りして見物すっか。
仮説便所、水飲み場、救急車、ポリ公もうじゃうじゃ居る。
レコード、寝袋、キャンプ用品、ジャンパーに毛布、
雨カッパ、ジーパン、電池にテープ、LPにパンフレット、
バッジ、フィッシュ&チップスにハンバーガー、
ホットドッグにコーラ、皮ジャン、下着にコンドームまで、
出店や屋台で売ってる。 用意周到だ、へへ。
木陰で黒人が、グラスとシットと吸引器を売ってるが、
ポリ公は横目で見てもパクらない。
いちいちパクってたら、護送車何台あっても足りねえ。
革ジャンのヘルズエンジェルスは目をつけられてる。
でも、窃盗強姦殺人以外はお目こぼしってとこだろ。
きょうはまだプレだから、たいしたバンドは演らねえ。
名前も知らねえバンドにガキが騒ぐだけ。
小ステージだけで、8時頃でおしまい。
もうひとつのでかいほうのステージが、明日からの本番用だ。
スコットはハップを探しに行ったが見つからねえって、
セントメリー駅に行ってくるって出たきり、
夜12時になっても帰らねえ。 パクられたか?
まいいか、奴の寝袋も掛けて毛布も二人分掛けて、
俺は一人で雨音聞きながら、グラスやって寝ちまった。
5月26日 起きたら昼。風邪は治ったがラリってる。
待ち合わせの太田君と大将を探しに会場をうろつく。
ステージ横で大田君、ステージ前で大将、でもどこよ?
とてもじゃねえがこの広さで、この人の多さで無理だな。
エコーが効きすぎたアナウンスが流れる。
「只今、入場者4万人でーす。 車両は入れませんよ~。
トイレの場所は、後方に二百機、救護所は・・・」
フィッシュ&チップスの屋台はすげえ行列。
空いてる豆スープ屋で30ペンスのスープ買って、
パンを浸して木陰で食う。
一服してたらヒッピーねえちゃんが
「ねえ、タバコちょうだいよ」
はいよ、ってナンバー6を一本やったら
「なによ、グラスじゃないの ッハッハ」
ばかやろ、そりゃテントん中だろ。
・・・奴等もうラリってるから、おおっぴらに吸う。
消火器でもぶちまけたか。真っ白の泡の中で踊りまくって
ポリ公につまみ出されてる奴等。うっへっへ。
うろうろきょろきょろ1時間探して諦めた。
しょうがねえ。こんなでかい規模とは知らなかった。
テントに戻ったらスコットが居た。
「ハップと会えずに飲んだくれてさ、ヒッピーの家に泊めて
もらったのよ。 連絡できずにごめん」
そうか、よかった。エルでパクられたかと思ったぜ、へへ。
夕方から始まったキャンプファイアーに行って、缶詰温めて
食いながら前座バンドを観る。
うへえ! ウイッシュボーンアッシュもゲイリーライトも、
ここじゃ前座かよ。まいるね。
ここじゃ、アメリカンバンドがゲストってわけだ。
しばらく見てたが、寒い。 いったんテントに戻る。
7時過ぎ。ロキシーミュージックが聞こえる。
音はヤバイ、ひでえな。
次は? シャナナだ。全然ハモってねえ、シャバダバ。
バディマイルスか。すげえけどロックじゃねえな。
11時、きょう最後のステージ。
サンタナか?! 奴だ。あいつだサンタナだ。
でもウッドストックとタイコが違うな。
ソウル サクリファイス! でもまた雨・・・寒みい。
テントで震えながら寝た。
27日 土曜
インフォメーションに行って、伝言を書いた。
「太田君と大将へ。俺は右側の茶色のテントにいます」
ヘリは飛び、俺も飛ぶ。 泡泡でヒッピー大合唱。
夕方、ストローブスがでた。ステージ向きじゃねえな。
夜11時、フェイセス。 よーっしと思って最前列。
でも、がっかり。マリオットよ、きょうのお前全然よくねえ。
寒くてテント戻った。 演るほうも寒くて乗れねえんだろな。
28日 F&C食いながら散歩。雨も小降り。
おお、やってるやってる。うっひっひ。
10人くらいがスッポンポンで、木の下で瞑想してる。
勿論、みんなラりってるが、ポリ公も見て見ぬふり。
こりゃ、ちょっとしたイギリス版ウッドストック。
夜7時。 スレイドが出た。
ガキのファンがすげえ。やらせだろ。騒ぎすぎだ。
次は、ドンマックリーン。ギター1本でなかなか新鮮。
曇り空の下で、スターリースターリーナイトって、可哀相。
でも、アメリカンパイで大合唱の大乗り。
11時。 やっとビーチボーイズだ。さすがすげえ人気。
皆、ステージ前に押し寄せて、踊るわ騒ぐわ。
マイクラブがgood evening everybody! うえー、かっこいい。
おっ、あいつがブライアンか、やっぱり来たんだ。
そんで演った! Woldn’t it be nice うおおお!!
次はBa ba ba babara ann うわおお!
のこぎり出して擦り始めた。good vibrationだ。
うおー たまんねえ! もう、大騒ぎジャーン。
1時半まで続いた。
きのうまで暖ったかかったのに、きょうはやけに寒い。
食堂行ったら、ストラドフォードで一緒だった
アメ公のスコットが寝てる。
おお、久しぶりじゃん どうしたのよ?
「いやあ、お前も居たのか。久しぶりだな。俺もきのう
着いたら満員でさ、食堂で寝かせてもらったのよ」
そうか、よっしゃ、一緒にフェス行こうぜ。
ところで、相棒のハップはどした?
「奴とは今晩、フェスの会場で落ち合うことになってる」
じゃあ、飯食ったら出発しようぜ。
スーパーで食糧仕入れて、バスで会場のバードニーへ向う。
バスはヒッピーで満員。 フェス客貸切状態。
さあ、ついにやってきました、リンカーンフェス!
なんたって、これから5日間だ、体力勝負だぜ。
バカでかい公園がヒッピー村になった感じの会場。
まず場所確保だ。 もうテントは千個以上できてる。
前の方の、空いてる場所をやっと探してテント張った。
しかし、雨で寒い。道はグチャグチャ、人はごちゃごちゃ。
スコットが、ちょっと行ってくるって・・・。
すぐに、黒人の小僧を連れて戻って来た。 売人だ。
とりあえず、ハッシュを50ペンス、グラスも50ペンス、
それとエルが18粒で1ポンド。
お前さ、少しは負けろよ。
「いやなら売らねえよ」
しょうがねえ、全部くれ。 テントの中は闇市となった。
さあ、小雨だし一回りして見物すっか。
仮説便所、水飲み場、救急車、ポリ公もうじゃうじゃ居る。
レコード、寝袋、キャンプ用品、ジャンパーに毛布、
雨カッパ、ジーパン、電池にテープ、LPにパンフレット、
バッジ、フィッシュ&チップスにハンバーガー、
ホットドッグにコーラ、皮ジャン、下着にコンドームまで、
出店や屋台で売ってる。 用意周到だ、へへ。
木陰で黒人が、グラスとシットと吸引器を売ってるが、
ポリ公は横目で見てもパクらない。
いちいちパクってたら、護送車何台あっても足りねえ。
革ジャンのヘルズエンジェルスは目をつけられてる。
でも、窃盗強姦殺人以外はお目こぼしってとこだろ。
きょうはまだプレだから、たいしたバンドは演らねえ。
名前も知らねえバンドにガキが騒ぐだけ。
小ステージだけで、8時頃でおしまい。
もうひとつのでかいほうのステージが、明日からの本番用だ。
スコットはハップを探しに行ったが見つからねえって、
セントメリー駅に行ってくるって出たきり、
夜12時になっても帰らねえ。 パクられたか?
まいいか、奴の寝袋も掛けて毛布も二人分掛けて、
俺は一人で雨音聞きながら、グラスやって寝ちまった。
5月26日 起きたら昼。風邪は治ったがラリってる。
待ち合わせの太田君と大将を探しに会場をうろつく。
ステージ横で大田君、ステージ前で大将、でもどこよ?
とてもじゃねえがこの広さで、この人の多さで無理だな。
エコーが効きすぎたアナウンスが流れる。
「只今、入場者4万人でーす。 車両は入れませんよ~。
トイレの場所は、後方に二百機、救護所は・・・」
フィッシュ&チップスの屋台はすげえ行列。
空いてる豆スープ屋で30ペンスのスープ買って、
パンを浸して木陰で食う。
一服してたらヒッピーねえちゃんが
「ねえ、タバコちょうだいよ」
はいよ、ってナンバー6を一本やったら
「なによ、グラスじゃないの ッハッハ」
ばかやろ、そりゃテントん中だろ。
・・・奴等もうラリってるから、おおっぴらに吸う。
消火器でもぶちまけたか。真っ白の泡の中で踊りまくって
ポリ公につまみ出されてる奴等。うっへっへ。
うろうろきょろきょろ1時間探して諦めた。
しょうがねえ。こんなでかい規模とは知らなかった。
テントに戻ったらスコットが居た。
「ハップと会えずに飲んだくれてさ、ヒッピーの家に泊めて
もらったのよ。 連絡できずにごめん」
そうか、よかった。エルでパクられたかと思ったぜ、へへ。
夕方から始まったキャンプファイアーに行って、缶詰温めて
食いながら前座バンドを観る。
うへえ! ウイッシュボーンアッシュもゲイリーライトも、
ここじゃ前座かよ。まいるね。
ここじゃ、アメリカンバンドがゲストってわけだ。
しばらく見てたが、寒い。 いったんテントに戻る。
7時過ぎ。ロキシーミュージックが聞こえる。
音はヤバイ、ひでえな。
次は? シャナナだ。全然ハモってねえ、シャバダバ。
バディマイルスか。すげえけどロックじゃねえな。
11時、きょう最後のステージ。
サンタナか?! 奴だ。あいつだサンタナだ。
でもウッドストックとタイコが違うな。
ソウル サクリファイス! でもまた雨・・・寒みい。
テントで震えながら寝た。
27日 土曜
インフォメーションに行って、伝言を書いた。
「太田君と大将へ。俺は右側の茶色のテントにいます」
ヘリは飛び、俺も飛ぶ。 泡泡でヒッピー大合唱。
夕方、ストローブスがでた。ステージ向きじゃねえな。
夜11時、フェイセス。 よーっしと思って最前列。
でも、がっかり。マリオットよ、きょうのお前全然よくねえ。
寒くてテント戻った。 演るほうも寒くて乗れねえんだろな。
28日 F&C食いながら散歩。雨も小降り。
おお、やってるやってる。うっひっひ。
10人くらいがスッポンポンで、木の下で瞑想してる。
勿論、みんなラりってるが、ポリ公も見て見ぬふり。
こりゃ、ちょっとしたイギリス版ウッドストック。
夜7時。 スレイドが出た。
ガキのファンがすげえ。やらせだろ。騒ぎすぎだ。
次は、ドンマックリーン。ギター1本でなかなか新鮮。
曇り空の下で、スターリースターリーナイトって、可哀相。
でも、アメリカンパイで大合唱の大乗り。
11時。 やっとビーチボーイズだ。さすがすげえ人気。
皆、ステージ前に押し寄せて、踊るわ騒ぐわ。
マイクラブがgood evening everybody! うえー、かっこいい。
おっ、あいつがブライアンか、やっぱり来たんだ。
そんで演った! Woldn’t it be nice うおおお!!
次はBa ba ba babara ann うわおお!
のこぎり出して擦り始めた。good vibrationだ。
うおー たまんねえ! もう、大騒ぎジャーン。
1時半まで続いた。