印毎来譜 「俺等はヒッピーだった」
1972年5月29日。
リンリンリンカーンも最終日だ。
起きたら頭痛え。風邪だか半ラリだかわかんねえ。
テントの外で半長靴の音が聞こえる。ポリ公だ。
喧嘩やテントから物盗んだ奴を追いかけたり、
ポリもホントごくろうさんです。
しかし、婦警は結構色っぽい。
長いパツキンを束ねて制帽に入れて、うなじが白い。
強姦されんなよ・・・ウヒヒ。
顔洗ってたら、こないだの売人が寄って来た。
もういらねえよ、俺が売りてえくれえだ。
さあきょうは楽日だし、雨も上がったしばっちり録るぜ。
新品電池に入れ換えたテレコを、ヒモで腰に縛り付け、
マイクは胸ポケットに入れ、グラスと煙草と缶詰は袋に入れ、
首にはタオル、頭から毛布被って、・・・乞食だ。
ぐるっと偵察しようと思ったが、もう無理だ。
ヒッピーが、きのうの倍くらいに増えて歩けねえ。
飯食って昼寝して3時。テントを出る。
しかし前座バンドも大変だ。
昼間でライトも当てられねえで、観客はガキばかり。
10m位のやぐらが何か所もある。
そこに陽が落ちて本ステージにライトが当たる。
夜の部はMCもいてビッグショータイム。
6時。 そろそろ名のあるのが出てくる。
まずシャナナ。数で勝負のおっさん達。
レコードの曲を演るが、全然だめ。
次はジェネシス。それなりに渋いが、地味すぎかな。
ハンブルパイのマリオット。きょうは最高、正気だな。
ステイタスQ。 まあ悪くはねえが、ガキ向け。
10時。真っ暗でいい雰囲気になってきた。
いよいよメインイベントだ。
でも、なかなか始まらねえ。セッティングに時間かける。
つなぎで素人並みのマジックが始まった。
風船割って鳩が出てくるだけ。時間つなぎ、あほらしい。
その間に、俺もションベンして缶詰食って準備。
段々ステージ前に人が増えてきた。
こら!見えねえぞ。
一番前にいたのに、さらに前をヒッピーに占領された。
ヒッピーで行儀のいい奴はいねえが、ラリってるうえに
寒いし酒も入ってるから、わけわかんねえ。
日本語で「見えねえぞこら!」
振り向いて、何かわめきながら中指たてやがる。
喧嘩しても負けそうだし、シカトして一服。バッキヤロー。
なかなか始まらねえ。 寒いしラリるし。
花火やキャンプファイヤーが、そこらじゅうで始まった。
ポリ公が火を消しに走る。そんでみんなイエー!大騒ぎ。
火の粉が空に舞う。 こりゃ下手な手品より面白れえ。
結構な前座アトラクションだ。
11時。やっとでかいライトが一斉にステージを照らした。
ウオオー!イエエエー! ものすげえ歓声があがった。
でもまだステージにはまだ誰も出てこねえ。
早くしろこのやろう、草くれー酒くれー寒みいぞー。
そんで15分。ウオー!ついに出た! よーし行けえ!
ジョーコッカーとイングリッシュメン。
タイコは? おおジムケルトナーとダブルドラムか。
ヤノピは? これも二人いる。レオンちゃんはいるのか。
カンが6人もいてギターふたり。大所帯、金かけてんな。
出たあ!コッカー。あの写真で観たジョーコッカー。
この寒いのに汚ねえTシャツ一丁で、もう完全に飛んでる。
イントロで体振って倒れそう。 ひっひ。
Delta lady! 出ました。コッカー節。
声だか遠吠えだか、顔もすげえが声量もすげえ。
体から音が出てる。蝉だ。
バンドもすげえ、コッカーもすげえ。
地面が揺れる、空も頭も揺れる。
花火だ喧嘩だ、お祭りだあ、よっしゃあ!
ステージ側のスクリーンにケルトナーもコッカーも映る。
本人目の前にスクリーンもシャクだ。
1曲目はシャッフルの曲、曲名は忘れたがノル曲。
次は三連のhave you ever loved a woman 最高。
1時間半、悶えまくって吠え、のたうちまわって、
いったん引っ込んだ。
more! mooore! の地響きのような歓声。
アンコールはボックストップスのletter。
イントロが長い。ピアノ1本で5分も。ノリノリ。
Tシャツをもっと汚ねえのに着替えたコッカーが、
左からフラフラしながら出てきた。
ウオー! すげえ!
次はベースが入ってケルトナーが入って、
カンが5人も入る。
ベースはクラウスか、よく見えねえ。
コッカーが吠えるgimme a ticket for an airplane
しかし、カッコいい。 この絵、この音。
長い間奏が始まった。バックコーラスはおねえちゃん4人。
昨日サンタナだと思ってた奴はスライだった。 へへ。
ブンヤカヤカヤカ・・・そうサンタナじゃねえスライだ。
俺、完全いってた。スピードが効いた。
そのスライのボーヤかラリパッパ野郎がふらつきながら、
タンバリン持ってステージ真ん中に出てきやがった。
スタッフに下げられてもまた出てくる。ウオオー。大騒ぎ。
コッカーの唄に戻った。
she wrote me a letter、 boomboom!!
あ~、興奮のリンカーンフェスが終わった。
5日間観まくって、聞きまくって、効きまくって。
ユース帰って久しぶりのシャワー。髪の毛かちかちだ。
さっぱりして、食堂行くと大将がいた。
「おお、なんだよ居たのか。あの中で探せって無理よな」
大将も俺のこと探したんだ、まあ元気でよかった。
9月にアフリカ行こうって誘われたが、断った。
リンカーンのテープの整理があるし、ゆっくりしたい。
いったんロンドンに帰ろう。
リンリンリンカーンも最終日だ。
起きたら頭痛え。風邪だか半ラリだかわかんねえ。
テントの外で半長靴の音が聞こえる。ポリ公だ。
喧嘩やテントから物盗んだ奴を追いかけたり、
ポリもホントごくろうさんです。
しかし、婦警は結構色っぽい。
長いパツキンを束ねて制帽に入れて、うなじが白い。
強姦されんなよ・・・ウヒヒ。
顔洗ってたら、こないだの売人が寄って来た。
もういらねえよ、俺が売りてえくれえだ。
さあきょうは楽日だし、雨も上がったしばっちり録るぜ。
新品電池に入れ換えたテレコを、ヒモで腰に縛り付け、
マイクは胸ポケットに入れ、グラスと煙草と缶詰は袋に入れ、
首にはタオル、頭から毛布被って、・・・乞食だ。
ぐるっと偵察しようと思ったが、もう無理だ。
ヒッピーが、きのうの倍くらいに増えて歩けねえ。
飯食って昼寝して3時。テントを出る。
しかし前座バンドも大変だ。
昼間でライトも当てられねえで、観客はガキばかり。
10m位のやぐらが何か所もある。
そこに陽が落ちて本ステージにライトが当たる。
夜の部はMCもいてビッグショータイム。
6時。 そろそろ名のあるのが出てくる。
まずシャナナ。数で勝負のおっさん達。
レコードの曲を演るが、全然だめ。
次はジェネシス。それなりに渋いが、地味すぎかな。
ハンブルパイのマリオット。きょうは最高、正気だな。
ステイタスQ。 まあ悪くはねえが、ガキ向け。
10時。真っ暗でいい雰囲気になってきた。
いよいよメインイベントだ。
でも、なかなか始まらねえ。セッティングに時間かける。
つなぎで素人並みのマジックが始まった。
風船割って鳩が出てくるだけ。時間つなぎ、あほらしい。
その間に、俺もションベンして缶詰食って準備。
段々ステージ前に人が増えてきた。
こら!見えねえぞ。
一番前にいたのに、さらに前をヒッピーに占領された。
ヒッピーで行儀のいい奴はいねえが、ラリってるうえに
寒いし酒も入ってるから、わけわかんねえ。
日本語で「見えねえぞこら!」
振り向いて、何かわめきながら中指たてやがる。
喧嘩しても負けそうだし、シカトして一服。バッキヤロー。
なかなか始まらねえ。 寒いしラリるし。
花火やキャンプファイヤーが、そこらじゅうで始まった。
ポリ公が火を消しに走る。そんでみんなイエー!大騒ぎ。
火の粉が空に舞う。 こりゃ下手な手品より面白れえ。
結構な前座アトラクションだ。
11時。やっとでかいライトが一斉にステージを照らした。
ウオオー!イエエエー! ものすげえ歓声があがった。
でもまだステージにはまだ誰も出てこねえ。
早くしろこのやろう、草くれー酒くれー寒みいぞー。
そんで15分。ウオー!ついに出た! よーし行けえ!
ジョーコッカーとイングリッシュメン。
タイコは? おおジムケルトナーとダブルドラムか。
ヤノピは? これも二人いる。レオンちゃんはいるのか。
カンが6人もいてギターふたり。大所帯、金かけてんな。
出たあ!コッカー。あの写真で観たジョーコッカー。
この寒いのに汚ねえTシャツ一丁で、もう完全に飛んでる。
イントロで体振って倒れそう。 ひっひ。
Delta lady! 出ました。コッカー節。
声だか遠吠えだか、顔もすげえが声量もすげえ。
体から音が出てる。蝉だ。
バンドもすげえ、コッカーもすげえ。
地面が揺れる、空も頭も揺れる。
花火だ喧嘩だ、お祭りだあ、よっしゃあ!
ステージ側のスクリーンにケルトナーもコッカーも映る。
本人目の前にスクリーンもシャクだ。
1曲目はシャッフルの曲、曲名は忘れたがノル曲。
次は三連のhave you ever loved a woman 最高。
1時間半、悶えまくって吠え、のたうちまわって、
いったん引っ込んだ。
more! mooore! の地響きのような歓声。
アンコールはボックストップスのletter。
イントロが長い。ピアノ1本で5分も。ノリノリ。
Tシャツをもっと汚ねえのに着替えたコッカーが、
左からフラフラしながら出てきた。
ウオー! すげえ!
次はベースが入ってケルトナーが入って、
カンが5人も入る。
ベースはクラウスか、よく見えねえ。
コッカーが吠えるgimme a ticket for an airplane
しかし、カッコいい。 この絵、この音。
長い間奏が始まった。バックコーラスはおねえちゃん4人。
昨日サンタナだと思ってた奴はスライだった。 へへ。
ブンヤカヤカヤカ・・・そうサンタナじゃねえスライだ。
俺、完全いってた。スピードが効いた。
そのスライのボーヤかラリパッパ野郎がふらつきながら、
タンバリン持ってステージ真ん中に出てきやがった。
スタッフに下げられてもまた出てくる。ウオオー。大騒ぎ。
コッカーの唄に戻った。
she wrote me a letter、 boomboom!!
あ~、興奮のリンカーンフェスが終わった。
5日間観まくって、聞きまくって、効きまくって。
ユース帰って久しぶりのシャワー。髪の毛かちかちだ。
さっぱりして、食堂行くと大将がいた。
「おお、なんだよ居たのか。あの中で探せって無理よな」
大将も俺のこと探したんだ、まあ元気でよかった。
9月にアフリカ行こうって誘われたが、断った。
リンカーンのテープの整理があるし、ゆっくりしたい。
いったんロンドンに帰ろう。