印毎来譜 「俺等はヒッピーだった」
1973年3月22日。
アルハンブラ宮殿、結構なもんでした。
日が暮れる前にもう一箇所行こうぜ。
カサブランカが並ぶ狭い細い白い坂道を下る。
玄関先掃きながら黒の割烹着のばあさん、
さっきからずっと俺等を見てる。じーっと見てる。
ハポネなんか生まれて初めて見たか。
コンチワって言ってもガン飛ばすだけ。 ふーん。
I君「サクラモンテどう?」馬の名前じゃねえな。
フラメンコ発祥の地らしい。いいじゃん、行くか。
路地の角にサクラモンテの標識。
角曲がると、うおお!いきなり違う景色だ。
ぎっしりひしめくカサブランカっていうより、ただの穴ぐら。
入口狭く奥に長い。中も全部白壁。
まるで防空壕だ・・・知らねえけど。
天井から鈴やら裸電球やら食器やら、キンキラの光り物。
いかにもジプシーの家だな。
この辺はみんなフラメンコで食ってるって。
I君、良く知ってるね、さすが留学生。
学生証だけの俺とはわけが違う。っひっひ
フラメンコ屋さんは政府公認。親方日の丸か。
金取って教えたり観光用に観せたり、プロを育てる老舗の
家もあるって。
ギターの音、唄、カスタネットの音。
そこらじゅうでなんか演ってる。
白い家と派手な着物に日没の光。
フェリーニが撮りそうな世界。隠微ってやつだ、インビ。
小学生くらいのガキ娘が集まって来た。
タバコくれ、パンくれ眼鏡までくれって。
目つき顔つきは一人前、さすがジプシーの末裔、ガキながら迫力がある。
中で年長の娘。姉御肌。
腕輪してイヤリングして腰振りながら近づいてきた。
「ワタシ ガイドする 20pts」
12.3か。物腰はガキじゃねえ。
どうする? 二人ともOK。
OK、いいよ。20ptsな。案内してくれ。
娘、グラシアス サンキュー アリガトって言いながら、
金をスカートのポケットに入れる。
じっと、俺等の顔を見ながら・・そのしぐさ。
妖しい微笑み。血だ、娼婦もかなわねえ。
俺の手引っ張って、時計触ってセイコーセイコーって、
そう、セイコーだよ。でもダメだよ、そう甘かねえよ。
そんな目つきで俺を見上げるな、あねご。
1軒でフラメンコの真っ最中。
女衆は複合リズムの手拍子。ビートは表裏。
素人ドラマーなんか足元にも及ばねえ。
おばちゃんが唄う。マイクなんか無い。 オーレッ!
その横では、ベッタベタに頭なでつけた野郎がギターを弾く。
そんで取り巻き連中のこのリズム感。
メインの踊り子は10才くらい。 濃い化粧して着飾って、
クルクル回る。10才はここじゃもう一人前か。恐ろしい。
玄関先で30分立ち見して、道端で一服してたら、娘が
「今のはテレビの撮影よ。本チャンは10時から夜中2時まで
全部の家で一斉に始まるよ。見学は1時間200ptsよ。
どう? おにいさん。観てかない」
あ、テレビ用だったか。しかし200は高え、今ので充分だ。
悪いな、ジプシー娘。
でもよ、きょうは早い時間から稼いだだろ。
ラッキーだぞ、お稼ぎなさい。アディオスな。
拗ねた顔してウインク。指でさよなら。
うっへえ おっそろしい ガキジプシー。
帰りの坂道で、バレンシアで会った中村君と会った。
フラメンコ見に来たって。4人になって居酒屋入る。
晩飯食いながらみんなで旅の話。
やっぱりスペインはいいな。
北欧もいいらしいが中近東インドも行ってみたい。
マドリのユースは日本人番長が居るって。
ポルトガル行ったことある? アメリカ行きたいね。
ロンドン行ったら泊めてよ。みなさん真面目、健全だ。
11時門限、ユースへ戻ったら日本人二人増えてる。
なんとホンダN3で車旅してるって。 っへえ
色んな奴が居る。色んな奴から色んな話聞いて、
色んなとこ行きたくなる。 これがダイゴミ。
3月23日。 ここまで来たらマラガまで行きてえ。
ジョンが式挙げたジブラルタルの近くじゃん。
でも、金が足りねえ・・そうか!
娘がほしがったセイコー、これ売って旅費にするか。
隣の部屋行って「よう!セイコーの腕時計、新品同様。
500ptsでどうっすか?」
シーンとしやがって、何とか言えよ。
カナ公が言った「俺等はヒッピーだ。皆時計は持ってる。
でも金はない。売るなら現地人だよ」
おお、そりゃそうだな。
じゃあって、フロント行ってペアレンツのおやじに話す。
一丁前に時計覗きこんでやがる。ばかやろ、本モンだ。
「200なら買うよ」
俺りゃマラガ行きてえんだ、400出せよ。
「じゃあ、預っとく。友達に聞いてみる」
バーカ、その手にゃ乗らねえ、返せ。てめえにゃ売らねえ。
部屋帰って話したら、なんとN3の日本人が320なら
買うって。 しかも中村君はマラガに住んでるって。
「俺、友達とペンションに住んでるのよ。泊まれるよ。
一緒にマラガ行こうか」
よし! 渡りに船だ、矢切りの渡し。
OK、じゃ320。ありがとさん。
中村君、俺に合わせてくれて一緒に行くって。
4時半のバスを予約。15ptsは安い。
夕方まで街ブラついて、満員バス発車。
岩の谷間を走る。揺れるなんてもんじゃねえ、舌噛みそうだ。
うーん、サンチョパンサが馬で走ったかも知れねえな。
夜8時前、マラガに着いた。グラナダより暖ったかい。
そっから乗り合いバスで20分、中村君のペンションへ。
日本人二人で住んでる。画家の卵だって。ふ~ん
こんなマラガの田舎に日本人の画家の卵かぁ。
シャワー浴びてセレベッサで乾杯!
旅の話、マラガの話、人生、ゲージュツ。
皆年上、もう1年もここに住んでるって。いい街なんだろな。
夜10時、村一番の居酒屋に連れてってくれるって。
白い坂道を歩いて着いた、カサブランカの小さな居酒屋。
映画に出てくるような店だった。
真中に年季の入ったテーブル。
カウンターには、年季の入った髭のおやじや元セニオリータ。
壁には年季の入った黒光りの船の錨。
客は漁師達。こりゃ最高じゃん。
でかいエビが出た。魚、パエリャ、オレンジにセルベッサ。
客のおやじがギター弾き始めた。 まるで映画だ。
哀愁のメロディー。曲が終わると女が隣の男にキス。
そういう曲なんだ・・2時まで飲んで千鳥足で帰った。
3月24日。 風はあるがいい天気。港に行ってみる。
きょうは日本出て1年目だ。みんなどうしてるかな。
親父お袋、友達。 イギリス回ったニューヨークも行った。
ヨーロッパも回った、うーん1年か。俺も22だ。
波止場に座ってパンとオレンジ食ってたら、向こうから
髭のおやじが来た。いかにも漁師。
俺の横に来てニタっとする。
ん? 油紙に包んだオイルサーディンを無言で出す。
人は良さそうだし・・・あんちゃんこれをパンに挟んで食え。
ここのイワシは絶品だぞって顔して、無言で行っちゃった。
うーん、エスパニョール。マラガか。
ほんとに美味いうめえ! おやじグラシアス!
魚臭え潮風の中、町の中心の太い道を行ってみる。
オレンジの並木道。小さい公園もあるし、噴水にベンチ。
おお、オレンジを籠に入れて自転車に乗ってる女達。
目が会えばちょっと恥ずかしそうにニコッ。
手を振ればちょっと恥ずかしそうにニコッ。
うおー! ハッ ハッ いい気分 サーイコー。
ギリシャともイタリアとも違う。屈託のない笑顔、はにかむ仕草。
そんで中肉中背ラテン系。うっひっひ、日本人好み俺好み。
物価も安い。ヴィノ1杯3pts、オレンジ1キロ6pts。
画家がここに住むのが分かった。
3月25日。 画家さん達は朝から絵描いてる。
居候は邪魔しちゃいけねえ。
お気に入りの昨日の波止場行って、ごろ寝。
空も海もコンコン紺色。 煙草の煙より白い雲。
中年の日本人のアベックが来た。マドリに住んでて休暇旅行。
なんか今、ロンドンは大変らしいって話。
俺が出た3日後にアイルランド軍が爆弾しかけて死者も出た。
へえ、知らなかった。でもここは関係ねえ。いい散歩を!
3月26日。いつもの波止場行って部屋に戻ったら、
友人だっていう山崎さんが遊びに来てた。
アローラって田舎に住んでて、そこにも日本人画家がいるって。
ここも居候で面倒かけてるしな。行ってみっかな。
鈍行オムニバス号で1時間。
山崎さんと夕方5時過ぎアローラに着いた。ド田舎だ。
画家三人と中村君の友人の秋穂さんが住んでる。
しかしこんなとこでよくまあペンション探したもんだ。
画家の執念かね、へへへ。
2部屋の内、1部屋はアトリエに使ってる。
足の踏み場も無く、絵が積み上がってる。
自炊で1カ月1万円。メチャ安だ。
バンド仲間集めて住んだらおもしれえだろうな・・・。
セルベッサで乾杯し自炊の夕飯を頂く。
娯楽はラジオだけ。 将棋さしたり身の上話したり、
皆日本の最新情報をよく知ってる。
夜、3台のベッドくっつけて5人で寝る。
枕元に週刊平凡・・秀ちゃんとマーちゃんがサーカス
ってバンド始めたって。 へえ、すげえな。
こんなところで日本の友達のバンドのニュース見るとは。
3月27日。 ツタノさんが誘ってくれて散歩に行く。
白い坂道ぶらつきながら話し出す。
スペインのあちこち行きながら絵描いてるって、芸術家タイプ。
この辺はアンダルシアで一番いい所だって。
へえ、画家さん達 ハポネボヘミアンだな。
夜、地元野菜で作った日本風の飯。美味かった。
ありがたく御馳走になりました。
飯代も泊り賃も払わねえし、俺の居候で寝る場所も狭くなり、
すんません。今夜発つことにした。色々ありがとございました。
鈍行でボバディージャっていう駅行って、マドリ行きは
12時38分、8時間でマドリだ。
ツタノさんは途中の駅まで送ってくれた。
お世話んなりましたー ありがとございました。
皆さんお元気で~。
アルハンブラ宮殿、結構なもんでした。
日が暮れる前にもう一箇所行こうぜ。
カサブランカが並ぶ狭い細い白い坂道を下る。
玄関先掃きながら黒の割烹着のばあさん、
さっきからずっと俺等を見てる。じーっと見てる。
ハポネなんか生まれて初めて見たか。
コンチワって言ってもガン飛ばすだけ。 ふーん。
I君「サクラモンテどう?」馬の名前じゃねえな。
フラメンコ発祥の地らしい。いいじゃん、行くか。
路地の角にサクラモンテの標識。
角曲がると、うおお!いきなり違う景色だ。
ぎっしりひしめくカサブランカっていうより、ただの穴ぐら。
入口狭く奥に長い。中も全部白壁。
まるで防空壕だ・・・知らねえけど。
天井から鈴やら裸電球やら食器やら、キンキラの光り物。
いかにもジプシーの家だな。
この辺はみんなフラメンコで食ってるって。
I君、良く知ってるね、さすが留学生。
学生証だけの俺とはわけが違う。っひっひ
フラメンコ屋さんは政府公認。親方日の丸か。
金取って教えたり観光用に観せたり、プロを育てる老舗の
家もあるって。
ギターの音、唄、カスタネットの音。
そこらじゅうでなんか演ってる。
白い家と派手な着物に日没の光。
フェリーニが撮りそうな世界。隠微ってやつだ、インビ。
小学生くらいのガキ娘が集まって来た。
タバコくれ、パンくれ眼鏡までくれって。
目つき顔つきは一人前、さすがジプシーの末裔、ガキながら迫力がある。
中で年長の娘。姉御肌。
腕輪してイヤリングして腰振りながら近づいてきた。
「ワタシ ガイドする 20pts」
12.3か。物腰はガキじゃねえ。
どうする? 二人ともOK。
OK、いいよ。20ptsな。案内してくれ。
娘、グラシアス サンキュー アリガトって言いながら、
金をスカートのポケットに入れる。
じっと、俺等の顔を見ながら・・そのしぐさ。
妖しい微笑み。血だ、娼婦もかなわねえ。
俺の手引っ張って、時計触ってセイコーセイコーって、
そう、セイコーだよ。でもダメだよ、そう甘かねえよ。
そんな目つきで俺を見上げるな、あねご。
1軒でフラメンコの真っ最中。
女衆は複合リズムの手拍子。ビートは表裏。
素人ドラマーなんか足元にも及ばねえ。
おばちゃんが唄う。マイクなんか無い。 オーレッ!
その横では、ベッタベタに頭なでつけた野郎がギターを弾く。
そんで取り巻き連中のこのリズム感。
メインの踊り子は10才くらい。 濃い化粧して着飾って、
クルクル回る。10才はここじゃもう一人前か。恐ろしい。
玄関先で30分立ち見して、道端で一服してたら、娘が
「今のはテレビの撮影よ。本チャンは10時から夜中2時まで
全部の家で一斉に始まるよ。見学は1時間200ptsよ。
どう? おにいさん。観てかない」
あ、テレビ用だったか。しかし200は高え、今ので充分だ。
悪いな、ジプシー娘。
でもよ、きょうは早い時間から稼いだだろ。
ラッキーだぞ、お稼ぎなさい。アディオスな。
拗ねた顔してウインク。指でさよなら。
うっへえ おっそろしい ガキジプシー。
帰りの坂道で、バレンシアで会った中村君と会った。
フラメンコ見に来たって。4人になって居酒屋入る。
晩飯食いながらみんなで旅の話。
やっぱりスペインはいいな。
北欧もいいらしいが中近東インドも行ってみたい。
マドリのユースは日本人番長が居るって。
ポルトガル行ったことある? アメリカ行きたいね。
ロンドン行ったら泊めてよ。みなさん真面目、健全だ。
11時門限、ユースへ戻ったら日本人二人増えてる。
なんとホンダN3で車旅してるって。 っへえ
色んな奴が居る。色んな奴から色んな話聞いて、
色んなとこ行きたくなる。 これがダイゴミ。
3月23日。 ここまで来たらマラガまで行きてえ。
ジョンが式挙げたジブラルタルの近くじゃん。
でも、金が足りねえ・・そうか!
娘がほしがったセイコー、これ売って旅費にするか。
隣の部屋行って「よう!セイコーの腕時計、新品同様。
500ptsでどうっすか?」
シーンとしやがって、何とか言えよ。
カナ公が言った「俺等はヒッピーだ。皆時計は持ってる。
でも金はない。売るなら現地人だよ」
おお、そりゃそうだな。
じゃあって、フロント行ってペアレンツのおやじに話す。
一丁前に時計覗きこんでやがる。ばかやろ、本モンだ。
「200なら買うよ」
俺りゃマラガ行きてえんだ、400出せよ。
「じゃあ、預っとく。友達に聞いてみる」
バーカ、その手にゃ乗らねえ、返せ。てめえにゃ売らねえ。
部屋帰って話したら、なんとN3の日本人が320なら
買うって。 しかも中村君はマラガに住んでるって。
「俺、友達とペンションに住んでるのよ。泊まれるよ。
一緒にマラガ行こうか」
よし! 渡りに船だ、矢切りの渡し。
OK、じゃ320。ありがとさん。
中村君、俺に合わせてくれて一緒に行くって。
4時半のバスを予約。15ptsは安い。
夕方まで街ブラついて、満員バス発車。
岩の谷間を走る。揺れるなんてもんじゃねえ、舌噛みそうだ。
うーん、サンチョパンサが馬で走ったかも知れねえな。
夜8時前、マラガに着いた。グラナダより暖ったかい。
そっから乗り合いバスで20分、中村君のペンションへ。
日本人二人で住んでる。画家の卵だって。ふ~ん
こんなマラガの田舎に日本人の画家の卵かぁ。
シャワー浴びてセレベッサで乾杯!
旅の話、マラガの話、人生、ゲージュツ。
皆年上、もう1年もここに住んでるって。いい街なんだろな。
夜10時、村一番の居酒屋に連れてってくれるって。
白い坂道を歩いて着いた、カサブランカの小さな居酒屋。
映画に出てくるような店だった。
真中に年季の入ったテーブル。
カウンターには、年季の入った髭のおやじや元セニオリータ。
壁には年季の入った黒光りの船の錨。
客は漁師達。こりゃ最高じゃん。
でかいエビが出た。魚、パエリャ、オレンジにセルベッサ。
客のおやじがギター弾き始めた。 まるで映画だ。
哀愁のメロディー。曲が終わると女が隣の男にキス。
そういう曲なんだ・・2時まで飲んで千鳥足で帰った。
3月24日。 風はあるがいい天気。港に行ってみる。
きょうは日本出て1年目だ。みんなどうしてるかな。
親父お袋、友達。 イギリス回ったニューヨークも行った。
ヨーロッパも回った、うーん1年か。俺も22だ。
波止場に座ってパンとオレンジ食ってたら、向こうから
髭のおやじが来た。いかにも漁師。
俺の横に来てニタっとする。
ん? 油紙に包んだオイルサーディンを無言で出す。
人は良さそうだし・・・あんちゃんこれをパンに挟んで食え。
ここのイワシは絶品だぞって顔して、無言で行っちゃった。
うーん、エスパニョール。マラガか。
ほんとに美味いうめえ! おやじグラシアス!
魚臭え潮風の中、町の中心の太い道を行ってみる。
オレンジの並木道。小さい公園もあるし、噴水にベンチ。
おお、オレンジを籠に入れて自転車に乗ってる女達。
目が会えばちょっと恥ずかしそうにニコッ。
手を振ればちょっと恥ずかしそうにニコッ。
うおー! ハッ ハッ いい気分 サーイコー。
ギリシャともイタリアとも違う。屈託のない笑顔、はにかむ仕草。
そんで中肉中背ラテン系。うっひっひ、日本人好み俺好み。
物価も安い。ヴィノ1杯3pts、オレンジ1キロ6pts。
画家がここに住むのが分かった。
3月25日。 画家さん達は朝から絵描いてる。
居候は邪魔しちゃいけねえ。
お気に入りの昨日の波止場行って、ごろ寝。
空も海もコンコン紺色。 煙草の煙より白い雲。
中年の日本人のアベックが来た。マドリに住んでて休暇旅行。
なんか今、ロンドンは大変らしいって話。
俺が出た3日後にアイルランド軍が爆弾しかけて死者も出た。
へえ、知らなかった。でもここは関係ねえ。いい散歩を!
3月26日。いつもの波止場行って部屋に戻ったら、
友人だっていう山崎さんが遊びに来てた。
アローラって田舎に住んでて、そこにも日本人画家がいるって。
ここも居候で面倒かけてるしな。行ってみっかな。
鈍行オムニバス号で1時間。
山崎さんと夕方5時過ぎアローラに着いた。ド田舎だ。
画家三人と中村君の友人の秋穂さんが住んでる。
しかしこんなとこでよくまあペンション探したもんだ。
画家の執念かね、へへへ。
2部屋の内、1部屋はアトリエに使ってる。
足の踏み場も無く、絵が積み上がってる。
自炊で1カ月1万円。メチャ安だ。
バンド仲間集めて住んだらおもしれえだろうな・・・。
セルベッサで乾杯し自炊の夕飯を頂く。
娯楽はラジオだけ。 将棋さしたり身の上話したり、
皆日本の最新情報をよく知ってる。
夜、3台のベッドくっつけて5人で寝る。
枕元に週刊平凡・・秀ちゃんとマーちゃんがサーカス
ってバンド始めたって。 へえ、すげえな。
こんなところで日本の友達のバンドのニュース見るとは。
3月27日。 ツタノさんが誘ってくれて散歩に行く。
白い坂道ぶらつきながら話し出す。
スペインのあちこち行きながら絵描いてるって、芸術家タイプ。
この辺はアンダルシアで一番いい所だって。
へえ、画家さん達 ハポネボヘミアンだな。
夜、地元野菜で作った日本風の飯。美味かった。
ありがたく御馳走になりました。
飯代も泊り賃も払わねえし、俺の居候で寝る場所も狭くなり、
すんません。今夜発つことにした。色々ありがとございました。
鈍行でボバディージャっていう駅行って、マドリ行きは
12時38分、8時間でマドリだ。
ツタノさんは途中の駅まで送ってくれた。
お世話んなりましたー ありがとございました。
皆さんお元気で~。