印毎来譜 「俺等はヒッピーだった」
１９７３年８月１８日 朝７時。ビクトリア駅着。
バス１１時間、やーっと着いたぞ。 足パンパン、
傷口ズキズキ、完全に血が下がっちまった。痛え。
タクシー乗りてえが金は無え。しょうがねえ
バスでノッティングヒル。びっこひいてたどり着いた。
ミミー！ 帰ったぞ！
「おお、お帰り」
あれ、きょうはラリッてねえし、すぐ出てきたな。
「こんちわ、初めまして。伊佐治って言います、どうも。
留守中にお世話んなってます。すんません」
ミミの友達とは思えねえ、真面目な奴。関西の伊佐治が
居候してた。
ああ、どうも。それより足だ。
とにかく靴脱いで、血まみれの包帯取って・・・ぐええ！
なんだあ！？足の甲から足首まで腫れてる、しびれてる。
「あ？ どしたん？ 足」
ああ・・・エジンバラでちょっとな、ドジ踏んじゃったよ。
本当は鉄柵踏んじゃったんだけどな、へへ。
おっ、お前、お茶入れてくれんの？ 珍しいじゃんミミ。
「紅茶は消毒んなるから、紅茶で傷口洗ったらどうよ」
なんだよ、やけに優しいじゃねえか。気持ち悪りい。
キッチン行って、やかんで紅茶作ってきてくれた。
ミミよ、紅茶もったいねえじゃん。
「んなら やめよか？せっかく作ったんやで」
まあそうだな。じゃ、お前を信じてやってみっか。
ところでお前、いつのまに関西弁じゃん。
伊佐治と２週間居たら戻っちゃったって、同じ神戸だしな。
血は止まってるが、傷口は金魚の腹。
紅茶で傷口を洗ってみた。 ぐわー痛ってえ。
「うっわ、きもち悪りい。痛そう。だいじょぶかよ」
だいじょばねえよ、痛えよ！イテエ あ～
今まででかい怪我もしねえでやってきたのによ、ったく。
治さなきゃ来月中近東行けねえぞ。
「中近東行くの？もう決めたの？」
ああ決めたよ。 だからこれ、足をよ、なんとかしなきゃ
しょうがねえのよ。
左足の底が痺れてる。ミミが作ってくれた飯食って、
エジンバラでもらった鎮痛剤飲んで、とりあえず寝た。
８月１９日 起きたらギョエエ！
なんだこりゃ、誰の足だ。ぱんぱんに腫れてやがる。
ジーパンが脱げねえ。太股まで腫れてきたぞ。
こりゃ医者行かねえとだめか。まいったな・・・
でも指は動くし、痛みはきのうよりいい。
ほかは何でもねえ。頭も正常だ。 毒がヤバイか・・・
破傷風で脳にきたらアウトだな・・・ジンジンする。
ミミの作ってくれたトースト食って一服。
しっかし・・どうすっかな。 医者は行きたくねえ・・・
ふふ・・・いっしっし グッドアイデア！ さすが俺だ。
よっしゃ！正露丸セーロガン世界の正露丸。
親父が言ってた。日露戦争じゃあ兵隊も戦地へ持ってった、
正露丸のお陰でロシアに勝った。だから征露丸て言うんだ。
歯が痛きゃ歯に詰める、切り傷擦り傷塗り込みゃ治る。
そう！正露丸！これだ。
伊佐治が持ってた１０粒もらって、新聞紙で包んでつぶして
押して正露アンコの出来上がり。
「うおお 臭っせえ！」
しょうがねえよ、我慢してくれ。これが効くんだから。
頼むぜぇ！ セーロガン様ー。
こしアンになったぞ。傷口に塗りこむぞ。
グエ・・・傷口・・中はピンク色。深さ１ｃｍってとこか。
先は塞がってる。毒は回らねえだろ。
んじゃ、エジンバラでもらった消毒液で拭いて、そんで
そおっとスプーンの腹で傷口に、正露丸アンコを押し込む。
お前等面白がってんな。 ばっきやろ、いくぞ。
うっ！ かっ！ きっ！ くっ！痛ってえ 臭っせえ！
たまんねえ ばぁーっきゃろう！・・・ふ～う汗出た
トイレットペーパー当てて、セロテープ貼って、タオル巻いて
ほら、出来上がりだ。どうだ正露丸大作戦。
「お前 臭っせえよ。ほんと」
悪りい悪りい。ドア開けろ。ちょっと我慢してくれ。
中近東行くか医者行くかの瀬戸際だ。
「まるでハッシュやん」うん確かに。興味はそこかよミミ。
吸ってみるか？ひっひっひ
痛え！笑うと痛え。
枕に足置いて寝た。こうなりゃ賭けだ、正露丸様効いてくれよ。
翌朝。 おおーお すんげえ！
おーい ミミー イサジー。腫れが引いてるぞお！
見てくれこれだあ、これ！
「おっすげえな。 まともな足んなったじゃん」
なっ！ すげえだろ。一晩でこれだ。 いっひっひ
医者もビックリ医者要らず。 すげえよ、正露丸。
歩ってみる・・・肉の中は少し違和感。
でも痛みはほとんど無し。腫れが引いたから楽だ。
ウッヒッヒ 効いたなこりゃ。大成功。よっしもう一丁だ。
「ええ？またやんの？ 臭っせえよ」
だってよ、完全に治さなきゃやばいだろ。我慢してくれ。
中近東の為、俺の将来の為だ。
今度は５粒だ。アンコにしてっと・・・。
昨日のをほじくり出して、新しいアンコ押しこむ。
もう傷口痛くねえ。
よーっしゃ。これでおとなしく寝てりゃこっちのもんだ。
うーっひっひっひ！正露丸作戦大成功じゃん。
８月２１日 腫れは完全になくなった。
傷口も塞がってきた。正露丸、ほんとすげえ。
ノーベル賞もんだ。親父ありがとう。
でもまだサンダルしか履けねえ。外行くのは早え。
神様のくれたいい機会だ。ゆっくりするか。
読んでなかった手紙が５通もある。
気になってたお袋からの返事が来てた。
ーー前略 無心の手紙を見て思わず泣きました。
１年半も、どこでどんな暮らしをしているのやら、
手紙を読んでも想像もつかず・・お父さんは、
今のうちに好きなことやれと言っていますが、
内心はとても心配しています。
・・・う～・・・
ーーお金は送るからすぐにでも帰国して下さい。
１０万とありましたが、お父さんが２０万送ってやれ
との事です。 今工場は景気がいいので、今のうちに
脛かじれと言っています。感謝しなさい。
明後日に送ります。見送りに来てくれた人達に、
必ずお土産を買って来て下さい。
それにこれは私からお願いです。
帰りに中近東を通るのは絶対に止めて下さい。
コレラが流行っていたり戦争があったりと、
ニュースでやっています・・・。
・・・泣けた。
でもよっしゃ！ 金が来る。２０万だ。すげえ。
もうこわいもんねえぞ。うえっほー よっしゃ！
タンカ切って日本飛び出して情けねえけど、
後にも先にもこれっきりだよ、おっかさん。
お父さんお母さん、ありがとうございます。
わたくし感謝申し上げ奉りますでござります。
８月２８日 金は来る、足は直る。すべて大吉。
よし、金取りに行こう。
そんで鈴木にもミミにも借金返すぞ。
ムーアゲイトのスミトモバンクへ行くと、着いてた！
２０万は３０４ポンド５７ペンス。ドルで７５０ドル。
５０ドル分をポンドに替え、５００ドルはチェックにした。
２００ドルはキャッシュだ。懐暖ったけえ。うっしっし
９月１日 皆に借金返して回った。利息代わりに飯奢った。
あとは身辺整理。飛ぶ鳥だから綺麗にしとかなきゃ。
カセット８本、本１２冊、レコード４枚、旅の土産２０個、
コンサートパンフ１５枚と着る物。結構あった。
船便で日本に送った。
中近東は身軽に・・・こりゃ鉄則。
そんで、世話んなった人に片っ端から手紙書いて挨拶回り。
義理堅いね、俺も。
まずはストレッサムの下宿だ。
１年半前に初めて座ったキッチン。
ミセスケンは両肘ついていつものポーズ。
「本当に行っちゃうのヨシ。寂しくなるわね。
あなたは行動派だし、いいわね。でも中近東インドは充分
気をつけてね。水や食べ物はよくないわよ」
お袋と一緒だ、心配してくれる。ありがたい。
本当に色々お世話んなりました。ミセスケン。
あなたと会わなかったら、俺、野垂れ死んでたかもです。
お陰でグレないで元気に楽しく過ごせました。
ミセスケン自慢の濃い紅茶を頂き、握手と頬にキス。
お元気で、ありがとございました、さよなら。
９月２日朝。ジャル行って地図と情報仕入れ。
勿論正露丸も仕入れた。
昼飯食って挨拶回り。スコッチハウスの兼田、
アールズコートのダチ公達、ミミのバンド仲間、
バイトの仲間、全部回った。
９月３日 大田君から８日のストーンズのチケット取れたって。
これでロンドン最後、バンド見納めだ。
ミックが俺の見送りってわけか。
街の見納めは手短にポルトベロでも撮るか。
鈴木誘ってマーケット通りを撮りまくった。
９月５日 アフガンとイラクの大使館行ってビザ取り。
もうクーデター収まって国境通れるって、よし！
夕方、ピカデリーでLive and let dieの映画を観た。
ちょっと期待してたが、なんか評判倒れか。
夜、仁枝と大将が送ってくれた中近東情報のノート。
びっしり写して、安宿や安全ルートに赤丸つける。
いかり君に借りた「中近東教養旅行」読破。
中近東は五木寛之は役にたたねえ。
９月８日 大田君の下宿で俺の送別会やってくれた。
太田君、作田君、ミミ、イサジ、鈴木、兼田。
例によって、オリーブオイルの滴るスパゲティ大会。
寄せ書き書いて住所交換。また会おうぜ。
夕方からストーンズのコンサートへ繰り出す。
大田君とテレコ持って鈴木は望遠持って、出陣。
うお！うん、こりゃすげえ。ウイングス以上か。
俺はビートルズ派だが、今、眼の前にはミック。
あの例の声、すげえ。貫禄だ。
アンジーは圧巻。夜をぶっ飛ばした最後のロンドン。
最高だったよ、ミック。
アパート帰ってミミと明け方まで話した。
あん時こん時、バンドで食うっていうミミ。がんばれ。
あっという間のロンドン１年半であった。
明後日は出発だ。
バス１１時間、やーっと着いたぞ。 足パンパン、
傷口ズキズキ、完全に血が下がっちまった。痛え。
タクシー乗りてえが金は無え。しょうがねえ
バスでノッティングヒル。びっこひいてたどり着いた。
ミミー！ 帰ったぞ！
「おお、お帰り」
あれ、きょうはラリッてねえし、すぐ出てきたな。
「こんちわ、初めまして。伊佐治って言います、どうも。
留守中にお世話んなってます。すんません」
ミミの友達とは思えねえ、真面目な奴。関西の伊佐治が
居候してた。
ああ、どうも。それより足だ。
とにかく靴脱いで、血まみれの包帯取って・・・ぐええ！
なんだあ！？足の甲から足首まで腫れてる、しびれてる。
「あ？ どしたん？ 足」
ああ・・・エジンバラでちょっとな、ドジ踏んじゃったよ。
本当は鉄柵踏んじゃったんだけどな、へへ。
おっ、お前、お茶入れてくれんの？ 珍しいじゃんミミ。
「紅茶は消毒んなるから、紅茶で傷口洗ったらどうよ」
なんだよ、やけに優しいじゃねえか。気持ち悪りい。
キッチン行って、やかんで紅茶作ってきてくれた。
ミミよ、紅茶もったいねえじゃん。
「んなら やめよか？せっかく作ったんやで」
まあそうだな。じゃ、お前を信じてやってみっか。
ところでお前、いつのまに関西弁じゃん。
伊佐治と２週間居たら戻っちゃったって、同じ神戸だしな。
血は止まってるが、傷口は金魚の腹。
紅茶で傷口を洗ってみた。 ぐわー痛ってえ。
「うっわ、きもち悪りい。痛そう。だいじょぶかよ」
だいじょばねえよ、痛えよ！イテエ あ～
今まででかい怪我もしねえでやってきたのによ、ったく。
治さなきゃ来月中近東行けねえぞ。
「中近東行くの？もう決めたの？」
ああ決めたよ。 だからこれ、足をよ、なんとかしなきゃ
しょうがねえのよ。
左足の底が痺れてる。ミミが作ってくれた飯食って、
エジンバラでもらった鎮痛剤飲んで、とりあえず寝た。
８月１９日 起きたらギョエエ！
なんだこりゃ、誰の足だ。ぱんぱんに腫れてやがる。
ジーパンが脱げねえ。太股まで腫れてきたぞ。
こりゃ医者行かねえとだめか。まいったな・・・
でも指は動くし、痛みはきのうよりいい。
ほかは何でもねえ。頭も正常だ。 毒がヤバイか・・・
破傷風で脳にきたらアウトだな・・・ジンジンする。
ミミの作ってくれたトースト食って一服。
しっかし・・どうすっかな。 医者は行きたくねえ・・・
ふふ・・・いっしっし グッドアイデア！ さすが俺だ。
よっしゃ！正露丸セーロガン世界の正露丸。
親父が言ってた。日露戦争じゃあ兵隊も戦地へ持ってった、
正露丸のお陰でロシアに勝った。だから征露丸て言うんだ。
歯が痛きゃ歯に詰める、切り傷擦り傷塗り込みゃ治る。
そう！正露丸！これだ。
伊佐治が持ってた１０粒もらって、新聞紙で包んでつぶして
押して正露アンコの出来上がり。
「うおお 臭っせえ！」
しょうがねえよ、我慢してくれ。これが効くんだから。
頼むぜぇ！ セーロガン様ー。
こしアンになったぞ。傷口に塗りこむぞ。
グエ・・・傷口・・中はピンク色。深さ１ｃｍってとこか。
先は塞がってる。毒は回らねえだろ。
んじゃ、エジンバラでもらった消毒液で拭いて、そんで
そおっとスプーンの腹で傷口に、正露丸アンコを押し込む。
お前等面白がってんな。 ばっきやろ、いくぞ。
うっ！ かっ！ きっ！ くっ！痛ってえ 臭っせえ！
たまんねえ ばぁーっきゃろう！・・・ふ～う汗出た
トイレットペーパー当てて、セロテープ貼って、タオル巻いて
ほら、出来上がりだ。どうだ正露丸大作戦。
「お前 臭っせえよ。ほんと」
悪りい悪りい。ドア開けろ。ちょっと我慢してくれ。
中近東行くか医者行くかの瀬戸際だ。
「まるでハッシュやん」うん確かに。興味はそこかよミミ。
吸ってみるか？ひっひっひ
痛え！笑うと痛え。
枕に足置いて寝た。こうなりゃ賭けだ、正露丸様効いてくれよ。
翌朝。 おおーお すんげえ！
おーい ミミー イサジー。腫れが引いてるぞお！
見てくれこれだあ、これ！
「おっすげえな。 まともな足んなったじゃん」
なっ！ すげえだろ。一晩でこれだ。 いっひっひ
医者もビックリ医者要らず。 すげえよ、正露丸。
歩ってみる・・・肉の中は少し違和感。
でも痛みはほとんど無し。腫れが引いたから楽だ。
ウッヒッヒ 効いたなこりゃ。大成功。よっしもう一丁だ。
「ええ？またやんの？ 臭っせえよ」
だってよ、完全に治さなきゃやばいだろ。我慢してくれ。
中近東の為、俺の将来の為だ。
今度は５粒だ。アンコにしてっと・・・。
昨日のをほじくり出して、新しいアンコ押しこむ。
もう傷口痛くねえ。
よーっしゃ。これでおとなしく寝てりゃこっちのもんだ。
うーっひっひっひ！正露丸作戦大成功じゃん。
８月２１日 腫れは完全になくなった。
傷口も塞がってきた。正露丸、ほんとすげえ。
ノーベル賞もんだ。親父ありがとう。
でもまだサンダルしか履けねえ。外行くのは早え。
神様のくれたいい機会だ。ゆっくりするか。
読んでなかった手紙が５通もある。
気になってたお袋からの返事が来てた。
ーー前略 無心の手紙を見て思わず泣きました。
１年半も、どこでどんな暮らしをしているのやら、
手紙を読んでも想像もつかず・・お父さんは、
今のうちに好きなことやれと言っていますが、
内心はとても心配しています。
・・・う～・・・
ーーお金は送るからすぐにでも帰国して下さい。
１０万とありましたが、お父さんが２０万送ってやれ
との事です。 今工場は景気がいいので、今のうちに
脛かじれと言っています。感謝しなさい。
明後日に送ります。見送りに来てくれた人達に、
必ずお土産を買って来て下さい。
それにこれは私からお願いです。
帰りに中近東を通るのは絶対に止めて下さい。
コレラが流行っていたり戦争があったりと、
ニュースでやっています・・・。
・・・泣けた。
でもよっしゃ！ 金が来る。２０万だ。すげえ。
もうこわいもんねえぞ。うえっほー よっしゃ！
タンカ切って日本飛び出して情けねえけど、
後にも先にもこれっきりだよ、おっかさん。
お父さんお母さん、ありがとうございます。
わたくし感謝申し上げ奉りますでござります。
８月２８日 金は来る、足は直る。すべて大吉。
よし、金取りに行こう。
そんで鈴木にもミミにも借金返すぞ。
ムーアゲイトのスミトモバンクへ行くと、着いてた！
２０万は３０４ポンド５７ペンス。ドルで７５０ドル。
５０ドル分をポンドに替え、５００ドルはチェックにした。
２００ドルはキャッシュだ。懐暖ったけえ。うっしっし
９月１日 皆に借金返して回った。利息代わりに飯奢った。
あとは身辺整理。飛ぶ鳥だから綺麗にしとかなきゃ。
カセット８本、本１２冊、レコード４枚、旅の土産２０個、
コンサートパンフ１５枚と着る物。結構あった。
船便で日本に送った。
中近東は身軽に・・・こりゃ鉄則。
そんで、世話んなった人に片っ端から手紙書いて挨拶回り。
義理堅いね、俺も。
まずはストレッサムの下宿だ。
１年半前に初めて座ったキッチン。
ミセスケンは両肘ついていつものポーズ。
「本当に行っちゃうのヨシ。寂しくなるわね。
あなたは行動派だし、いいわね。でも中近東インドは充分
気をつけてね。水や食べ物はよくないわよ」
お袋と一緒だ、心配してくれる。ありがたい。
本当に色々お世話んなりました。ミセスケン。
あなたと会わなかったら、俺、野垂れ死んでたかもです。
お陰でグレないで元気に楽しく過ごせました。
ミセスケン自慢の濃い紅茶を頂き、握手と頬にキス。
お元気で、ありがとございました、さよなら。
９月２日朝。ジャル行って地図と情報仕入れ。
勿論正露丸も仕入れた。
昼飯食って挨拶回り。スコッチハウスの兼田、
アールズコートのダチ公達、ミミのバンド仲間、
バイトの仲間、全部回った。
９月３日 大田君から８日のストーンズのチケット取れたって。
これでロンドン最後、バンド見納めだ。
ミックが俺の見送りってわけか。
街の見納めは手短にポルトベロでも撮るか。
鈴木誘ってマーケット通りを撮りまくった。
９月５日 アフガンとイラクの大使館行ってビザ取り。
もうクーデター収まって国境通れるって、よし！
夕方、ピカデリーでLive and let dieの映画を観た。
ちょっと期待してたが、なんか評判倒れか。
夜、仁枝と大将が送ってくれた中近東情報のノート。
びっしり写して、安宿や安全ルートに赤丸つける。
いかり君に借りた「中近東教養旅行」読破。
中近東は五木寛之は役にたたねえ。
９月８日 大田君の下宿で俺の送別会やってくれた。
太田君、作田君、ミミ、イサジ、鈴木、兼田。
例によって、オリーブオイルの滴るスパゲティ大会。
寄せ書き書いて住所交換。また会おうぜ。
夕方からストーンズのコンサートへ繰り出す。
大田君とテレコ持って鈴木は望遠持って、出陣。
うお！うん、こりゃすげえ。ウイングス以上か。
俺はビートルズ派だが、今、眼の前にはミック。
あの例の声、すげえ。貫禄だ。
アンジーは圧巻。夜をぶっ飛ばした最後のロンドン。
最高だったよ、ミック。
アパート帰ってミミと明け方まで話した。
あん時こん時、バンドで食うっていうミミ。がんばれ。
あっという間のロンドン１年半であった。
明後日は出発だ。
