印毎来譜 「俺等はヒッピーだった」
1973年10月13日 お、晴れてる。
昨日は夜中に風と雨、すげえ嵐だったのに。
頭痛え。きのう飲みすぎた。
顔洗って朝飯食って荷物まとめて、ボルドーお別れだ。
スパニッシュ達は朝早く出たって。さよなら言いたかった。
金庫番の兄ちゃん、デデとも会えずに残念。
俺の嫌いなフランスで唯一いい思い出くれたスパニッシュ。
出稼ぎ組のお陰だ。ありがとさん。
金もらったし、一応パトロンにも挨拶さよならして、
コニャックから来た新パトロンの車に乗りこむ。
俺等4人と各国ヒッピー4人、出稼ぎ外人部隊。
茶色のトラックの荷台に8人乗って、出発。
風が冷てえ。コニャックってコニャック飲めんのかな。
広瀬さん、揺れる荷台で一服しながら
「ボルドー結構面白かったな。スペイン娘可愛かったしな」
飯田さん、リンコ箱に座って伸びしながら
「広瀬、今度写真撮る時まんべんなく女撮らないと恨まれるよ」
「おーっ、そうそう。女は恐いな。ひっひ
コニャックにも出稼組居るだろな」
「ああ、居るだろな。へっへ」
2時間くらい乗って、でかい畑に来た。
一本道の上に古いお城風屋敷。おお、すげえ、いいじゃん。
なんだ、宿舎じゃねえのか。パトロンの家だった。
宿舎は下の木造。でも屋根裏部屋じゃねえし便所もあるし、
まあまあだ。俺等に4人部屋をくれた。
長靴とカッパも支給されたり、待遇はサバーだ。
パトロンは男。禿で髭、いかにもボス面。
すぐに昼飯。豆スープとパンにチーズ、チキンの手羽焼き。
食ったら働けだ。2時から畑。
黒雲かぶさるフェリーニ風の畑で6時まで刈る。
ハテナマークのカッターも、もう慣れたもんだ。
ここの畑、ちょっと茎が堅いんじゃないの・・・なんちゃって。
もう、いっぱしの狩り屋だぜ。
7時晩飯。 同じスープに同じパンとチーズ。
そんでもメインは羊肉の煮込みだ。
おお、すげえな。初めて食ったぞ。こりゃ美味い。
でも、初日だけだろって、飯田さん。
まあ、でもいいじゃん・・・その通りだった。
夜、ヤッケと靴をシャワー浴びながら洗濯。
部屋の柱は干し物だらけ。でも俺等だけの部屋だし、OK。
でも、雑魚寝もよかったな。ねえちゃんの匂いもした・・・
月曜からスパニッシュ出稼ぎ組が20人来るって。
コニャックはこれからが本格的摘み取りだ。
スパニッシュはどこでも重宝されてる、毎年契約らしい。
ラジオルクセンブルグでビートルズが流れる・・・爆睡。
翌日、日曜。雨。午前中だけ畑。ビッショビショだ。
昼飯食ってシャワーと洗濯して、ワイン飲んで昼寝。
夕方、スペイン出稼ぎ隊が到着、玄関まで見に行ったが、
・・なんだ、野郎ばっかし、ばばあ三人。楽しみなし。
4人でポーカーやって寝た。
10月15日 また雨、寒い。
スパ公が雨ん中働くのやーだって、ぐずってパトロンとひともめ。
結局、3人帰っちゃったって。なんだよホントかよ。
結構弱っちいスペイン野郎だな。
そんで、パトロンが部屋に来た。
「ジャポネ、君達はよく働く。メルシーだ。ところで今朝、
スペイン人が3人帰ってしまったんだ。
刈り取りは遅くなる訳にはいかないんだ。コンプレ?
君達、日給2フラン上げて42フランにしてやるから、
居なくなった3人分働いてくれないか。サバ?」
うん? まあな・・・ひっひ、サバーサバよ。
飯田さん、流暢なフランス語で「OKパトロン。まかしとけ」
「おお!メルシーボクー」
ボクラ頼まれりゃ断れねえ、おだてられりゃ天まで昇るボク。
でも金にゃ敏感。俺たちゃヒッピー、正義の味方。
やってやるよーん! っひっひ。
もうけたぜ。どんどん雨降って、スパ公どんどん帰ってくれ。
うーしっし あっはっは ざまあみやがれ。
10月17日 久しぶり太陽が出た。
刈って刈って刈りまくる。ひとの倍働く日本人。
仕事終わって晩飯食って、ワイン飲んで雑談。
この雑談だけが楽しみのはずが、疲れてるからすぐ眠くなる。
なんにも考えるヒマはない、刈って刈って、刈るだけ。
冷え込んで朝晩は寒い。セーター2枚重ねて寝る。
朝露に濡れたぶどうは、すんげえ冷てえ。
おまけにケツが痛え。オロナインじゃ効かねえ。
広瀬氏に特効薬もらう。
そんな日が、きょうもあしたも・・・
10月21日 やっと日曜。きょうは半ドンだ。
二人はコニャックの町へ出掛けた。
俺はケツがやばいし、洗濯して昼寝。
起きたら、じゅんちゃんとちょっとフリズビー。
そんで、念いりにシャワー。ケツにはシャワーだ。
夜、飯のあとワイン飲みながらミミの事、ロンドンの事、
NYのこと、久々に思い出す。皆どうしてっかな。
あいつ等、こいつ等、親父お袋にも手紙書いた。
次の日、晴れりゃ暑い、降りゃ寒い。どうなってんだ。
きょうも刈って刈って刈りまくった。あ~あ。
腹痛え。正露丸飲んで寝た。
10月23日 きょうで10日目だ。
420フランは稼いだ。手持ちが190。
旅行きてえなあ、早く行きてえ。
でも、きょうも刈る刈るあすも刈る。
10月24日 豆スープに卵焼き。メインは魚か肉。
初日からずーっとおんなじ献立だぞ。少しは考えろ。
なにがフランス料理だ。あったま悪りいな。
広瀬さんが風邪気味。 じゅんちゃんも風邪声。
でも、きょうも刈る刈るあすも刈る。
10月25日 広瀬さんダウン。休んで1日寝てた。
じゅんちゃんも午後から休み。体弱いね。
飯田さんと俺は元気に刈りまくる。
でも体クタクタ、疲れピーク。
晩飯のあと、飯田さんが言った。
「そろそろスイス戻ろうかと思ってんだ」
じゅんちゃんも
「そだな。適当に稼いだし、ここ寒いしそろそろ終わるか」
飯田さん、広瀬さん
「俺達、ここ終わったら二人でカナリー行くんだ」
カナリーか。やっぱ旅はいいな。
俺も早いとこ中東入りてえ。ぶどうはもういい。
まずはスイス戻ってチケット買ってビザ取ったりしなきゃな。
よっし、俺土曜で終わるわ。
飯田さん、悪いけどパトロンに話して下さいよ。たのんます。
「わかった。明日の朝話とくよ」
10月27日(土) よし、最後日だ。550フランいくか。
刈って刈って刈りまくった。昼飯食ってまた刈って。
そんで、おわーったあ!! 手 渋渋 爪 真っ黒
夕陽が、犬が、ぶどうが、長靴が、カッパが、ジーパンが、
・・2週間、ついに終わったぞ。
夕飯のときパトロンに挨拶。あした給料くれるって。
スパニッシュにも挨拶して乾杯。
「悪りいな。俺ちょっと早くフィニートだ。またどっかで
会おうな。元気でな。アディオスだ」
めずらしく元気ねえ、スパニッシュ。
奴等も帰りてえに決まってる。悪りいな。
10月28日 最近日付がわかんなくなってる。
飯田さんに確認して、確かに28の日曜だ。
1日日記飛ばすとホントわかんねえ。
もう1年半書いてんのに・・・。
朝飯食って皆は畑、俺は給料、565フラン。やったぜ。
机を窓際に持ってきて、中近東インドの資料を点検。
ホテル名に赤線ひいて、大使館の住所電話写して、
薬の確認して、ジーパンつぎはぎして。
夜、俺の送別会だって。うれしいね。
隣部屋からアメ公カナ公ダッチも来た。
自家製ジャム、チーズ、つまみにワイン。
飽きるほど食ったこの献立。
飯田さん、広瀬さん、じゅん君もお世話んなりました。
もとはと言えば、二人の話で来た出稼ぎ。戦友ですね。
またどっかで会いましょう。
10月29日 皆と最後の朝飯食って、皆は畑へ行った。
俺はヒッチだ。 じゃあな、またな。
歩きだしたらパトロンの車が来た。
「町まで行く。乗れよ」
おお、いかつい面して、なんだ優しいじゃん。
別れ際にワイン1本くれた。メルシーボクー。
パトロンさん、ちょっとフランスの印象あがったぞ。
どうせヒッチは難しい。早くスイスへ戻りてえ。
アンゴレームまでバス切符買う。10フラン、高え。
11時発。快晴。 ビヴァエスパーニャー
鼻歌唄いながらビスケット食いながら1時間。
アンゴレームに着いた。
ド田舎じゃん。駅前広場でパンとチーズワインで昼飯。
こっからリヨンまで行ってジュネーブか。
リヨンまで102フラン?
ボルドーからより高えっておかしい、駅でヒッピー捕まえて聞く。
夜7時の列車でリモージュへ行って、そっからジュネーブ行き
乗れば96フランだって。やっぱりな。
安いルートはあるじゃねえか。
構内で昼寝して、6時半、乗り込んでリモージュ9時半着。
ジュネーブ行きは? 夜中1時半かよ!
また4時間、寝袋出して構内で寝てやっと乗り込んだ。
昼にはジュネーブか、あーあ。
10月30日 朝、なんか寒い。
8人掛けのコンパートメントに2人しかいない。
横んなってゆっくり・・と思ったら、キップ拝見や
パスポートチェックでゆっくり寝られやしねえ。
昼、ジュネーブ着。霧だ。寒みい。
意外とへんぴな駅前。これがジュネーブかよ。
駅のビュフェで熱いスープ飲んで、さあヒッチどうすっかな。
道路に出て、車はないし寒いし、やっぱりやめた。
ヌシャテルまで18.8フラン、乗っちゃおう。
霧で景色も見えねえ退屈な列車で、夕方6時、ヌシャテル着。
そこで乗り換えて、懐かしのモンモランに着いた。
山下さんの宿へ行ったら留守。
仕事場のホテルに行ったら、地下の部屋に居た。
「おお、元気だった!?」
なんか痩せたね、山下さん。苦労したか、元気がねえ。
結局、ここじゃ泊れないし、前に広瀬さんが居たコフランの
アパートへ行くことにした。
節正氏とやすし君が居て、ラーメン作ってくれた。
おまけに風呂も入って生き返った。
セントラルヒーティングの部屋で手足伸ばして好きなだけ寝た。
10月31日 うおー!雪だ。なんと、雪です。
ユッキーはフール、トンバラネージュだ。寒いわけだ。
こんな綺麗な雪景色、何年ぶりだろ。
去年はNY49丁目の汚ねえバンコーで雪だった。
ここの雪、最高じゃん。
近所のガキ共が雪ん中で遊んでる。
やすし君「俺等もやるか」
おおー! 遊ぼうぜー!!
昨日は夜中に風と雨、すげえ嵐だったのに。
頭痛え。きのう飲みすぎた。
顔洗って朝飯食って荷物まとめて、ボルドーお別れだ。
スパニッシュ達は朝早く出たって。さよなら言いたかった。
金庫番の兄ちゃん、デデとも会えずに残念。
俺の嫌いなフランスで唯一いい思い出くれたスパニッシュ。
出稼ぎ組のお陰だ。ありがとさん。
金もらったし、一応パトロンにも挨拶さよならして、
コニャックから来た新パトロンの車に乗りこむ。
俺等4人と各国ヒッピー4人、出稼ぎ外人部隊。
茶色のトラックの荷台に8人乗って、出発。
風が冷てえ。コニャックってコニャック飲めんのかな。
広瀬さん、揺れる荷台で一服しながら
「ボルドー結構面白かったな。スペイン娘可愛かったしな」
飯田さん、リンコ箱に座って伸びしながら
「広瀬、今度写真撮る時まんべんなく女撮らないと恨まれるよ」
「おーっ、そうそう。女は恐いな。ひっひ
コニャックにも出稼組居るだろな」
「ああ、居るだろな。へっへ」
2時間くらい乗って、でかい畑に来た。
一本道の上に古いお城風屋敷。おお、すげえ、いいじゃん。
なんだ、宿舎じゃねえのか。パトロンの家だった。
宿舎は下の木造。でも屋根裏部屋じゃねえし便所もあるし、
まあまあだ。俺等に4人部屋をくれた。
長靴とカッパも支給されたり、待遇はサバーだ。
パトロンは男。禿で髭、いかにもボス面。
すぐに昼飯。豆スープとパンにチーズ、チキンの手羽焼き。
食ったら働けだ。2時から畑。
黒雲かぶさるフェリーニ風の畑で6時まで刈る。
ハテナマークのカッターも、もう慣れたもんだ。
ここの畑、ちょっと茎が堅いんじゃないの・・・なんちゃって。
もう、いっぱしの狩り屋だぜ。
7時晩飯。 同じスープに同じパンとチーズ。
そんでもメインは羊肉の煮込みだ。
おお、すげえな。初めて食ったぞ。こりゃ美味い。
でも、初日だけだろって、飯田さん。
まあ、でもいいじゃん・・・その通りだった。
夜、ヤッケと靴をシャワー浴びながら洗濯。
部屋の柱は干し物だらけ。でも俺等だけの部屋だし、OK。
でも、雑魚寝もよかったな。ねえちゃんの匂いもした・・・
月曜からスパニッシュ出稼ぎ組が20人来るって。
コニャックはこれからが本格的摘み取りだ。
スパニッシュはどこでも重宝されてる、毎年契約らしい。
ラジオルクセンブルグでビートルズが流れる・・・爆睡。
翌日、日曜。雨。午前中だけ畑。ビッショビショだ。
昼飯食ってシャワーと洗濯して、ワイン飲んで昼寝。
夕方、スペイン出稼ぎ隊が到着、玄関まで見に行ったが、
・・なんだ、野郎ばっかし、ばばあ三人。楽しみなし。
4人でポーカーやって寝た。
10月15日 また雨、寒い。
スパ公が雨ん中働くのやーだって、ぐずってパトロンとひともめ。
結局、3人帰っちゃったって。なんだよホントかよ。
結構弱っちいスペイン野郎だな。
そんで、パトロンが部屋に来た。
「ジャポネ、君達はよく働く。メルシーだ。ところで今朝、
スペイン人が3人帰ってしまったんだ。
刈り取りは遅くなる訳にはいかないんだ。コンプレ?
君達、日給2フラン上げて42フランにしてやるから、
居なくなった3人分働いてくれないか。サバ?」
うん? まあな・・・ひっひ、サバーサバよ。
飯田さん、流暢なフランス語で「OKパトロン。まかしとけ」
「おお!メルシーボクー」
ボクラ頼まれりゃ断れねえ、おだてられりゃ天まで昇るボク。
でも金にゃ敏感。俺たちゃヒッピー、正義の味方。
やってやるよーん! っひっひ。
もうけたぜ。どんどん雨降って、スパ公どんどん帰ってくれ。
うーしっし あっはっは ざまあみやがれ。
10月17日 久しぶり太陽が出た。
刈って刈って刈りまくる。ひとの倍働く日本人。
仕事終わって晩飯食って、ワイン飲んで雑談。
この雑談だけが楽しみのはずが、疲れてるからすぐ眠くなる。
なんにも考えるヒマはない、刈って刈って、刈るだけ。
冷え込んで朝晩は寒い。セーター2枚重ねて寝る。
朝露に濡れたぶどうは、すんげえ冷てえ。
おまけにケツが痛え。オロナインじゃ効かねえ。
広瀬氏に特効薬もらう。
そんな日が、きょうもあしたも・・・
10月21日 やっと日曜。きょうは半ドンだ。
二人はコニャックの町へ出掛けた。
俺はケツがやばいし、洗濯して昼寝。
起きたら、じゅんちゃんとちょっとフリズビー。
そんで、念いりにシャワー。ケツにはシャワーだ。
夜、飯のあとワイン飲みながらミミの事、ロンドンの事、
NYのこと、久々に思い出す。皆どうしてっかな。
あいつ等、こいつ等、親父お袋にも手紙書いた。
次の日、晴れりゃ暑い、降りゃ寒い。どうなってんだ。
きょうも刈って刈って刈りまくった。あ~あ。
腹痛え。正露丸飲んで寝た。
10月23日 きょうで10日目だ。
420フランは稼いだ。手持ちが190。
旅行きてえなあ、早く行きてえ。
でも、きょうも刈る刈るあすも刈る。
10月24日 豆スープに卵焼き。メインは魚か肉。
初日からずーっとおんなじ献立だぞ。少しは考えろ。
なにがフランス料理だ。あったま悪りいな。
広瀬さんが風邪気味。 じゅんちゃんも風邪声。
でも、きょうも刈る刈るあすも刈る。
10月25日 広瀬さんダウン。休んで1日寝てた。
じゅんちゃんも午後から休み。体弱いね。
飯田さんと俺は元気に刈りまくる。
でも体クタクタ、疲れピーク。
晩飯のあと、飯田さんが言った。
「そろそろスイス戻ろうかと思ってんだ」
じゅんちゃんも
「そだな。適当に稼いだし、ここ寒いしそろそろ終わるか」
飯田さん、広瀬さん
「俺達、ここ終わったら二人でカナリー行くんだ」
カナリーか。やっぱ旅はいいな。
俺も早いとこ中東入りてえ。ぶどうはもういい。
まずはスイス戻ってチケット買ってビザ取ったりしなきゃな。
よっし、俺土曜で終わるわ。
飯田さん、悪いけどパトロンに話して下さいよ。たのんます。
「わかった。明日の朝話とくよ」
10月27日(土) よし、最後日だ。550フランいくか。
刈って刈って刈りまくった。昼飯食ってまた刈って。
そんで、おわーったあ!! 手 渋渋 爪 真っ黒
夕陽が、犬が、ぶどうが、長靴が、カッパが、ジーパンが、
・・2週間、ついに終わったぞ。
夕飯のときパトロンに挨拶。あした給料くれるって。
スパニッシュにも挨拶して乾杯。
「悪りいな。俺ちょっと早くフィニートだ。またどっかで
会おうな。元気でな。アディオスだ」
めずらしく元気ねえ、スパニッシュ。
奴等も帰りてえに決まってる。悪りいな。
10月28日 最近日付がわかんなくなってる。
飯田さんに確認して、確かに28の日曜だ。
1日日記飛ばすとホントわかんねえ。
もう1年半書いてんのに・・・。
朝飯食って皆は畑、俺は給料、565フラン。やったぜ。
机を窓際に持ってきて、中近東インドの資料を点検。
ホテル名に赤線ひいて、大使館の住所電話写して、
薬の確認して、ジーパンつぎはぎして。
夜、俺の送別会だって。うれしいね。
隣部屋からアメ公カナ公ダッチも来た。
自家製ジャム、チーズ、つまみにワイン。
飽きるほど食ったこの献立。
飯田さん、広瀬さん、じゅん君もお世話んなりました。
もとはと言えば、二人の話で来た出稼ぎ。戦友ですね。
またどっかで会いましょう。
10月29日 皆と最後の朝飯食って、皆は畑へ行った。
俺はヒッチだ。 じゃあな、またな。
歩きだしたらパトロンの車が来た。
「町まで行く。乗れよ」
おお、いかつい面して、なんだ優しいじゃん。
別れ際にワイン1本くれた。メルシーボクー。
パトロンさん、ちょっとフランスの印象あがったぞ。
どうせヒッチは難しい。早くスイスへ戻りてえ。
アンゴレームまでバス切符買う。10フラン、高え。
11時発。快晴。 ビヴァエスパーニャー
鼻歌唄いながらビスケット食いながら1時間。
アンゴレームに着いた。
ド田舎じゃん。駅前広場でパンとチーズワインで昼飯。
こっからリヨンまで行ってジュネーブか。
リヨンまで102フラン?
ボルドーからより高えっておかしい、駅でヒッピー捕まえて聞く。
夜7時の列車でリモージュへ行って、そっからジュネーブ行き
乗れば96フランだって。やっぱりな。
安いルートはあるじゃねえか。
構内で昼寝して、6時半、乗り込んでリモージュ9時半着。
ジュネーブ行きは? 夜中1時半かよ!
また4時間、寝袋出して構内で寝てやっと乗り込んだ。
昼にはジュネーブか、あーあ。
10月30日 朝、なんか寒い。
8人掛けのコンパートメントに2人しかいない。
横んなってゆっくり・・と思ったら、キップ拝見や
パスポートチェックでゆっくり寝られやしねえ。
昼、ジュネーブ着。霧だ。寒みい。
意外とへんぴな駅前。これがジュネーブかよ。
駅のビュフェで熱いスープ飲んで、さあヒッチどうすっかな。
道路に出て、車はないし寒いし、やっぱりやめた。
ヌシャテルまで18.8フラン、乗っちゃおう。
霧で景色も見えねえ退屈な列車で、夕方6時、ヌシャテル着。
そこで乗り換えて、懐かしのモンモランに着いた。
山下さんの宿へ行ったら留守。
仕事場のホテルに行ったら、地下の部屋に居た。
「おお、元気だった!?」
なんか痩せたね、山下さん。苦労したか、元気がねえ。
結局、ここじゃ泊れないし、前に広瀬さんが居たコフランの
アパートへ行くことにした。
節正氏とやすし君が居て、ラーメン作ってくれた。
おまけに風呂も入って生き返った。
セントラルヒーティングの部屋で手足伸ばして好きなだけ寝た。
10月31日 うおー!雪だ。なんと、雪です。
ユッキーはフール、トンバラネージュだ。寒いわけだ。
こんな綺麗な雪景色、何年ぶりだろ。
去年はNY49丁目の汚ねえバンコーで雪だった。
ここの雪、最高じゃん。
近所のガキ共が雪ん中で遊んでる。
やすし君「俺等もやるか」
おおー! 遊ぼうぜー!!