兄貴がミカエルになるとき
快晴で、湿気のない風が涼しくて、トオ兄のアロハ姿がハワイの人みたいに似合っていて、ショートパンツから出ている足が気持ちいい。

だからきっとプレートランチも美味しいのだろう。

5分くらい待ってすぐに車が運ばれて来た。

照れるほど真っ赤で派手なオープンカーは、ママのリクエストでレンタルしたものだ。

それなのに「オープンカーに3人乗りなんてダサいから2人でいってらっしゃい」と、ママはドライブはを速攻辞退してきた。

ホテルを出てカラカウア・アヴェニューを20分ほど走ると右手に海が見えてきた。

サファイアブルーの海とコバルトブルーの空の間を、熟したチェリーのようにピカピカ輝くオープンカーが走り抜けていく。

カップルなら完璧なシチュエーションだ。

「うわあ、きれい」

はしゃいだ声が風に飛ばされていく。

美しいビーチの景色を楽しみ、それからUターンするような形でフリーウェイに乗って15分ほど走った。

着いたのは、モンキーポッドの木があるモアナルアガーデンだ。

太い幹から大きく茂った枝葉、離れたところから見るとまるで緑の小山が地面から浮いているようだ。

木の下には直径10メートルほどもある大きな影が広がっている。
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