兄貴がミカエルになるとき
これこそクリアブルーの笑顔。

「サンキュー」と、彼の手を握った瞬間、いや、笑顔を見た瞬間、私の胸の一部が破片となってほろほろ崩れた……気がした。

小麦色ですべすべの肌。

きれいにそろった真っ白い歯。

涼しげだけれど優しい瞳。

ダーリンなんて名前からしてスウィートではないか。

だらしなく見とれている私を無視して、トオ兄は再びダーリンと会話を続けた。

タイプはまったく異なるけれど、華がある2人の男。

気付けば、店内にいる女性スタッフやお客さんたちも、2人に視線を投げかけている。

日本人のようにチラ見ではなく、マジ見だ。

そして残念ながら、次シーズンのイメージモデルになるにもかかわらず、誰も私に注目する人はいなかった。

がっかりだ。

かなりがっかりだけど、それでも私の心はふわふわ浮いていた。
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