兄貴がミカエルになるとき
この予想外の成功に、さすがに適当な私の家族も事の成り行きの大きさを認識し、家族会議が開かれた。

といっても「この先、どうするの? 咲季はモデルをやり続ける覚悟と根性はあるわけ?」と、一方的に私が問い詰められ、意思決定を迫られるだけで、「だいたい事の始まりはママがただの旅行気分でオーディションを引き受けちゃったからじゃない」と反論しても、「でもオーディションを受けたのも、受かったのも、シェリルのモデルをやっちゃったのもあなたなんだから仕方ないじゃない」と、ママはフーと湯気を吹きながら、のんきにお茶をすするだけだった。

「学校はどうするんだ? 咲季は受験だぞ」と、パパがしごくまともなことを言う。


現在中3の私は、高校受験が控えている。

久美ちゃん、美奈ちゃんと共に目指しているのは私立東宮学園。

都内有数の進学校で、難易度はかなり高い。

3人の成績だとまずまずの合格ラインにはいるが、それでも受験に絶対はない。

東宮学園に入るために、これからラストスパートをかけようね、とみんなで新たに気合いを入れたところだった。
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