紫の花、青の出会い



円洞紫喜(えんどうしき)。


それが小学生のときの私の名前。


杉山と出会ったときの名前。


私が一番好きな名前。


紫の喜び。


私が生まれたのは藤の花がとても綺麗に咲く病院だったから


その藤を見たお母さんがそう名前をつけたんだって。



鮮やかな紫。


でも私は紫よりも好きな色がある。


杉山も好きな色。


杉山とのきっかけの色。


大事な色。




青色。




杉山は青が好きと聞いてからは、買うものはなんでも青や青に近い水色だった。


洋服、肩掛けカバン、靴、キーホルダー。


シャーペン、筆箱、定規。



なんでも青。


青色が増えていく度に杉山を近くに感じた。


青を見るたびに杉山を思い出した。


特に文房具は、絶対に青じゃなきゃ気がすまなかった。


学校で一番使うものでもあったし


キーホルダーをじゃらじゃらつけるのはあまり好きじゃないし


どんなときでも持ち歩き安いものだったから。



杉山は、私の持ち物を見るといつも笑いながら



「おまえってほんと青好きだよなぁ」


って言って優しく触れてくれた。


私が青色をこんなにも好きになったのは


杉山が好きな色で、私に似合うって言ってくれた色だからだよ。




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