月と星
「早香ぁ。」
アイツは目をすこし潤わせて、抱きついてくる。
「やっぱり、早香はいい人だ。いい友達だ。心の友よ~」
「ちょ、苦しい。」
「ああ、ごめん。」
アイツは私を離す。
「決めた!私、先輩に想い伝えてくる。」
「頑張れ。」
「ずっと好きだったの、中学のときから。先輩の卒業式の日に告白しようと思ってたんだけど、勇気がなくて。そのまま引きずって、同じ高校入って。でもなかなか近付けなかったの。それで早香が告白されたって知って、なんか裏切られた気分になって。ごめんね本当に。」
「全然。」
「もう、踏ん切りつける。この片思いは終わりにする。」
「大丈夫だよ。星野かわいいし。」
「…早香に言われても嫌みにしか聞こえないんだけど。」
「…?」
「えっ早香自覚ないの?誰から見ても早香は美人だよ。」
「そんなわけないでしょ。」
「本当に無自覚なんだ。まぁいいや。とにかく、先輩に告白する!終わったら慰めてよね。」
アイツの顔は実に清々しかった。
この青い空のように。