聖魔の想い人
「その聖魔は、人の血肉を担う。根っから悪と化しちまった魔物たちから、人間を守ってくれる。そいつはね、とんでもねぇ長寿なんだが、産まれる時は人の体内に宿って生を受ける。それが人間を知るためなのか、あちらで生まれるのが危険だからなのかは分からんがね。……その、母体となり、聖魔に宿られた者が、<聖魔の想い人>だよ」
ぐっ、とラファルが口元に手を当てた。それを見てタリアはラファルを立たせ、外に連れて行った。小屋の裏でラファルは膝まづいて、胃の中の物を吐いた。タリアは黙って、その背をさすってやる。
「大丈夫かい?」
「……うん」
「確かに。気持ち悪い話、だよな」
小屋に戻り口の中をすすがせて、再び囲炉裏の脇に座らせた。イチが心配そうに覗き込んだ。
「お前、おっかさんから聞いてなかったのか?」
ちょっと不思議そうにローダが訊いた。
「知らない。母様はただ、俺があちらと強く繋がってしまっているんだってだけしか…」
「なるほどねぇ。母親の優しさだね」
お茶をすするローダに、タリアが訊いた。
「けれどその聖魔は、もとはあちらの生き物なら、いずれはラファルの体から離れるんですよね。なのに何故、この子の父親ーカダ王国の帝は、ラファルを隠したんです?」
ぐっ、とラファルが口元に手を当てた。それを見てタリアはラファルを立たせ、外に連れて行った。小屋の裏でラファルは膝まづいて、胃の中の物を吐いた。タリアは黙って、その背をさすってやる。
「大丈夫かい?」
「……うん」
「確かに。気持ち悪い話、だよな」
小屋に戻り口の中をすすがせて、再び囲炉裏の脇に座らせた。イチが心配そうに覗き込んだ。
「お前、おっかさんから聞いてなかったのか?」
ちょっと不思議そうにローダが訊いた。
「知らない。母様はただ、俺があちらと強く繋がってしまっているんだってだけしか…」
「なるほどねぇ。母親の優しさだね」
お茶をすするローダに、タリアが訊いた。
「けれどその聖魔は、もとはあちらの生き物なら、いずれはラファルの体から離れるんですよね。なのに何故、この子の父親ーカダ王国の帝は、ラファルを隠したんです?」