聖魔の想い人
「でなかったら、<大呪術師>なんて名乗れないって」
タリアとイチが、心配なんて小指の爪ほども感じてないような口調で言ったので、ラファルも心配することわやめた。確かに、あの口達者な老婆が、そう簡単にやられるとは思えなかった。
「ローダさんて、いくつくらいなの?」
「ん〜…さぁね。俺の記憶には、あの姿のローダ師しかないけどな」
「私もあのローダ師しか知らないね」
「産まれた時からあの姿だったりしてね」
ラファルが言うと、二人が噴き出した。
「あの婆さんなら有り得ない話じゃないね。人間かどうかも怪しいし」
「タリア、お前それ、ローダ師に知れたら刃がとんでくるぞ」
イチの言葉にタリアは笑った。ローダの物投げの的になっているイチが言うと、妙に重みがある。
「でも、何か、人間とは思えないところがあるよね。<神界>にも詳しいし」
「ラファルまで…お前たち命知らずにも程があるぞ」
イチが二人をねめつけるように言った。
「あの人はずっと昔から<神界>について知ろうとして来た。だからこちらやあちらについて、あの人しか知らないことがたくさんある。…もしかしたら、ルアンとカダが本当に同じ国だったのかどうかも、知っているのかもしれない」
「え!だったら、何でそれを<史詠み博士>に言わないの?」
「俺も訊いてみたんだ。あの人はな、こんな老いぼれが口を出して、若いもんから仕事を奪うことはあるまい、って言ったんだ。あの人は、自分の疑問に終止符が打てりゃいいんだよ」
「ふぅん…何か、すごい人みたいだね」
「半分、也捨て人みたいな人だけどね」
「タリア、お前もその中に含まれてるって分かってるか?」
ラファルが笑った。
「イチもそうじゃないの?」
むっ、とイチが顔をしかめ
「まいったな」
ぽん、とラファルの頭を撫でた。
タリアとイチが、心配なんて小指の爪ほども感じてないような口調で言ったので、ラファルも心配することわやめた。確かに、あの口達者な老婆が、そう簡単にやられるとは思えなかった。
「ローダさんて、いくつくらいなの?」
「ん〜…さぁね。俺の記憶には、あの姿のローダ師しかないけどな」
「私もあのローダ師しか知らないね」
「産まれた時からあの姿だったりしてね」
ラファルが言うと、二人が噴き出した。
「あの婆さんなら有り得ない話じゃないね。人間かどうかも怪しいし」
「タリア、お前それ、ローダ師に知れたら刃がとんでくるぞ」
イチの言葉にタリアは笑った。ローダの物投げの的になっているイチが言うと、妙に重みがある。
「でも、何か、人間とは思えないところがあるよね。<神界>にも詳しいし」
「ラファルまで…お前たち命知らずにも程があるぞ」
イチが二人をねめつけるように言った。
「あの人はずっと昔から<神界>について知ろうとして来た。だからこちらやあちらについて、あの人しか知らないことがたくさんある。…もしかしたら、ルアンとカダが本当に同じ国だったのかどうかも、知っているのかもしれない」
「え!だったら、何でそれを<史詠み博士>に言わないの?」
「俺も訊いてみたんだ。あの人はな、こんな老いぼれが口を出して、若いもんから仕事を奪うことはあるまい、って言ったんだ。あの人は、自分の疑問に終止符が打てりゃいいんだよ」
「ふぅん…何か、すごい人みたいだね」
「半分、也捨て人みたいな人だけどね」
「タリア、お前もその中に含まれてるって分かってるか?」
ラファルが笑った。
「イチもそうじゃないの?」
むっ、とイチが顔をしかめ
「まいったな」
ぽん、とラファルの頭を撫でた。