西山くんが不機嫌な理由
お約束と寂しがり屋。
新年を明けて早3日。
正月ボケが中々醒めない今日この頃、西山くんが風邪を引きました。
電話口越しの西山くんの声が微妙に掠れていて、しつこく問いただしたところ、
『…………移った』と、それだけ告げて一方的に通話を途絶えてしまった。
自他共に認めるばかな私だけれど、その一言で全てを把握することが出来た。
脳裏に鮮明に蘇るはお正月の明け方、西山くんと公園でのワンシーン。
「こ、これが噂のお約束…!」
なんて若干の感動すら覚えるのは一旦後回しに、必要最低限の荷物だけ手に取り自宅を飛び出した。
―――それから、ベッドの中で静かに、だけど息苦しそうに寝息を立てる西山くんを見守る今に至る。