【完】MOON STONE ~美しき姫の秘密~






…あ、れ?


なつかしい?どうして?


輝と私が出会ったのは今年の4月


それならどうして海に行くの?










ズキズキッ!!!



「い、た…………」


まただ。しばらく来なかったあの痛み


いや、今回はもっとひどいかもしれない


思わず頭を抱えてうずくまる




すると


"うっひょー凄いキレーだな"


"ほんと!来てよかったぁ!"


"はしゃぐのもいいけどナンパされんなよー"


""わかってますって!""



なつかしい海の香り


心地よい波の音


みんなの騒ぐ声




いやだいやだいやだ!


思い出したくない


何もかも


辛い、苦しい、そんな思いはもうしたくない…



「い、や…!もう…もうやめて…」


"あーまじ今幸せ"


"俺ら永久不滅〜♪"


"ははっどーしちゃったの?厨二病?"







"また来年もみんなで来れるよな"


"あたりまえ!"




なんで、思い出そうとするの?


薄々気づいていた


忘れたい記憶だったんだって


それならどうして思い出さなきゃいけないの?



目に涙が浮かんだ




その時



コンコン…


ふと部屋のドアがノックされた


「おい、もう寝たか?」



ねぇ、なんで翔はいつもわたしが助けて欲しいときに現れるの?



けど、ごめん、もう返事する力もないや


このままいけば私は全部を思い出す


そして、きっと、あなたたちとはいられなくなる



「はぁっ、はぁっ…」


だんだん呼吸が苦しくなって


バタンと床に倒れ込んだ












「おい、どうした?」


「………」


ガチャン!


その瞬間、ドアが思い切り開かれた


頑張って視線を移すと翔の焦った顔


「おい!」


その言葉が聞こえるとふわっと翔の匂いがして


体が浮く感覚がする


「しょ………はぁ、…う…はぁっ……」


翔は部屋のどこかにあった袋を持ってきて


私の口にあてる


「ゆっくり息を吸え」


「ん…はぁー…はぁ、けほっけほっ…」


むせてしまうけどなんとか息を吸い込む


翔は「大丈夫だ」と言って背中を規則よくポンポンと叩く



すると不思議なことに段々落ち着いてきて


「ん…もう大丈夫」


頭痛も引いて、フラッシュバックも収まった
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