【完】MOON STONE ~美しき姫の秘密~
「もう寝ろ」


翔はそう言うと私を近くにあるベッドにおろした


布団を優しくかけてくれて頭をポンポンとすると


その手を離して、部屋を出ようとする


パシッ


手を掴んでしまったのはまぎれもなく無意識で


「どうした?」


そう優しくしてくれるからつい甘えてしまう


「怖い…」


目をつぶると真っ暗


またフラッシュバックが起こりそうで怖い


それに、熱がでたあの日も嫌な夢を見てしまったから




「…俺のとこ来るか?」


「…………うん」


翔は私を抱きあげる


私はぎゅーっと首に手をまわし肩に顔をうずめた


なんだろう、今とても誰かと一緒にいたい


こんな感覚、今まで一度も無かったのに…


あんなに怖かったのに今は安心する





ボフッ


隣にある翔の部屋に入るとゆっくりベッドに下ろされる


「寝るまでいてやるから」


翔のベッドは翔の匂いがしてとても安心する


「ありがとう」


頭に感じる優しい温度が心地よくて


次第に瞼が重くなって…そのまま意識を飛ばした
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