【完】MOON STONE ~美しき姫の秘密~
〜翔聖side〜
"翔へ"
うーん、どこから話そうかな?
翔には本当に沢山色々なものをもらったよ
輝にいた時間は凄く短かった
だけど
本当に本当に楽しかった
なのに恩をあだで返すような事してごめん
翔は多くのものを背負ってる
だからあんまり迷惑かけたくなかったけど
自分じゃどうしようもできない気持ちがあったの
中途半端だったけどそれくらいみんなといたかった
楽しい思い出をありがとう
素敵な時間をありがとう
ほんとうは直接言いたかったけど…
私も翔の事好きだよ
大好き
だから、私を忘れて進んでください
さようなら
西条紅愛より
少しシワになった白い紙
そこにはいくつも雫が落ちた後があって
字が少し滲んでいる
紅愛は何を思ってこの手紙を書いた?
一人で背負い込んで決断して
…まずはアイツを見つけないと
過去のことも告白のことも
話はその後だ。
俺はひたすらバイクを走らせた
「なあ翔、少しは休んだら?」
頭上から聞こえた声にそっと目を開ける
視界がぼやけていて焦点が合わない
けど、このシルエットは…蓮だ
「また朝帰りだったんだろ?」
朝帰り?そんなのこの頃毎日だ
昼に起きて夜まで輝や聖蘭の仕事
そっから街に出てアイツを探す
帰るのはいつも朝の7時
そんな生活をしていた
でも、そんなの当たり前だろ
何かをしていないと気が狂いそうになる
…そんくらいアイツの存在がでかくなってる