【完】MOON STONE ~美しき姫の秘密~
「……………」
俺はあの時、栞を受け入れた
それだけじゃない
会いてえんだよ…
無言でパッと目を逸らす俺に蓮はため息をついた
「…本当にスパイじゃなければな
あと。アイツが見つかった時に翔がそんなんじゃだめだろ
ちょっとは気をつけろよな」
蓮は机の上にある携帯を掴むと
さっさと部屋から出ていった
幹部やメンバーが紅愛をどう思ってるのか察しはつく
誰にでも優しくて強い一面と
自分の事をほとんど話さない一面
アイツは一体何者なのか
わからないから信じられない
どうしたら…いいんだよ…
どこを探しても見つからないアイツ。
何を信じたらいいのかわからない俺達
俺はギュッと目を閉じた
目を閉じると襲ってくる睡魔
さすがに鞭を打った体は疲労に勝てなくて
意識が沈んでいった
しかし
ブオオオオオオ!
外から聞こえる凄まじい爆音に目を開いた
うるせえ…
寝不足で寝起きの俺はかなりくる音で
イライラが募る
誰が外でバイク乗り回してんだ?
俺は立ち上がり窓の外をのぞき込んだ
その時
「………っ翔さん!!」
バン!と音がして扉が開いた
「あ?」
振り返るとぜえぜえ息を切らせている龍がいて
なにやら急いでいるみたいだ
「下に…アイツらが…
蒼桜が…!!」