【完】MOON STONE ~美しき姫の秘密~
外に出たい、その一心で私は何もかも頑張った
「よくできました!今日はこれで終わりましょう」
そう言ってもらって早く終わらせるのを目的として。
早く終わった時間に睡眠をとり
夜中に抜け出す
それが私の作戦
すると意外にもあっさりと成功し夜中の12時
私は夜の繁華街へと足を踏み入れた
下調べはちゃんとしたから大丈夫なはず
「ふぅ…」
息を吐いて改めて見る
私は…この街に私は引き込まれた
ネオンの光を見ていると何かを忘れられる気がしてならなかった
だから私は毎日ここに通った
でもヤンキーに絡まれるのだけは避けられなくて
何度も何度も喧嘩をした
それは多分少しでも紅雅に近づきたかったからだと思う
ただがむしゃらに毎日を駆け抜けた
そんな事をしている私にこの街は噂を立てる
"左手首にブレスレットをしているやつには近づくな"
それは私の事。いつの間にか強くなりすぎたみたい
歩く度に色々な族に勧誘されるけど全部断って。
ただストレス解消のために街に来る私に仲間なんていらないし作ってはいけない
それにもし、お母様達にバレたら
…命の保証なんてどこにもない
紅雅も同じだったんだよね…
思いは募るばかりだった
今日もそんな日だと思ってた
「…はぁっ………はぁ……」
路地裏。私が最近噂の人だと知り喧嘩を吹っかけてきた奴ら10人を潰していた
数分後なんとか潰し終えてフラフラと倒れ込んだ私
さすがにこの人数キツイ…
ただたんに私が弱いだけだけど、
一人で戦うことに限界を感じていた
だからと言って仲間を作るなんてできない
やっぱ変装変えるしかないかぁ
…めんどうだな
ふと、空を見上げた
「………………」
街の中だっていうのに黒い空に光る星は輝いていて
なんだか胸をぎゅっと掴まれたような哀しい空だった
そう言えばパパとママが死んだ日、どんな空だっただろう?
…思い出せない
忘れたかったからなのか
忘れたくなかったからなのか
わからないけど、あの日から確かに時間は流れていた
だけどわかる事は
私はあの日から一歩も進んでいない
何も変われてない。
ほんと、何してるんだろ…
私は空を見上げるのをやめて
腕に顔を埋めうずくまった
このまま消えてしまいたい。