【完】MOON STONE ~美しき姫の秘密~
「いいよ、冬詩。再開しよう」
そういう私に冬詩は一瞬目見開いた
でも
「ふっ、ちょっとは成長したんだな」
そう言って笑った
…そうだね
私は今、ようやく一歩進んだよ
あの過去と決別して少しは強くなった
まだ皆を守ることが出来ない位弱いけど
それでも私は強くありたい
もう一度二人が武器を向け合うと戦いは再開された
体力を削り合う長い戦い
不利な事もわかっていながら私は攻められないでいた
冬詩の銃弾は一向にきれる事も無くて
弾切れを狙ってた私としてはかなり苦しい
「はぁ…はぁ…っ…」
段々息が切れてくる
刀使いのデメリットが今こうして出るなんて
酸素が足りない頭でぐるぐる考えていた、
その時
「……っ……ぁ…!」
弾が私の左腕を掠った
掠っただけ、でも鋭い痛みが駆け巡る
まだ左腕なだけよかったけど足や右腕に当たったら…
それこそ絶体絶命。
…でも止血する余裕なんかなくて
とどめなく流れる血を止める事もせず動き続けた
その代償がいつか来るとわかっていても。
「紅愛!」
そんな時ホールに響いた声。
私の大好きなあの人の声
「お前は負けない
…お前には仲間がいるから」
そうだ、私のピンチを必ず救ってくれたのは貴方だったね
「翔…」
「もう俺等は迷わない
どんな時もお前を信じていく
だから勝て。
そんでまた俺等と一緒にいろ!」
真っ直ぐで揺らぐ事のない声は
私の中にスーッと染み渡った
「勝って戻っておいで!紅愛ちゃん!」
透真
「てめー早く戻って俺の部屋の掃除手伝えよ!」
蓮斗
「みんな紅愛を待ってる。その気持ち無駄にするな!」
ナギサ
「くーちゃん!信じなくてごめん!沢山謝るから…勝って!」
泉
「総長の席、早く紅愛が戻ってメンバー安心させてやって!」
遥斗
「紅愛!こんだけ応援する仲間がいて負けねーよな!」
千歳
「…ずっと信じてるから。勝って」
來愛
「紅愛いないと僕等は完成しないの!戻ってきて!」
楓
…なんだろうこの感覚
胸が燃えるように熱い
みんなの声援が私に入ってきて
力をくれてるみたい
私はバカだね。こんないい仲間を疑って
信じてなかったの私の方だ
だからさ、次はちゃんと仲間になりたいな
私は刀を持ち直した
そして
ブォォォオ!!
殺気を最大限開放し
今度は私からいく
思いっきり踏み込み冬詩に向かって一直線に走った
パーン!!
ひたすら迫り来る銃弾を切りながら進む
あと、少し
そして。
「あーあ」
私の刀は冬詩の首を捉えた