【完】MOON STONE ~美しき姫の秘密~
それから段々口数も増えて今ではすっかり懐いてくれた
無口で無表情だけど根は本当に優しいんだ
…それでもまだ、來愛は愛情を求めてる
今だってほら。自分の気持ちを素直に話してくれたのに不安げで。
「來愛」
そう呼べば、こてんと首を傾げる
ほんと、可愛いやつ
私はふふ、と笑って
「大丈夫。私は來愛も翔聖も同じ位大事
順位なんてつけれないから」
そして、頭をポンポンと撫でると
「…ん。」
滅多に表情を崩さない彼が、ふにゃっと顔を緩めて擦り寄ってくる
「翔聖いないから今のうちね?秘密だよ?」
「わかった」
らいあ
それは、彼の名前
元々らいあという名前しかなくて、來愛自身も書かれた名前自分の名前を知らなかったらしい
それで、らいあという名前に漢字をつけたのが私。
来る愛で、來愛
らいあに、沢山の愛が来ますように
ちょっと女の子みたいだから変えようとしたら來愛本人が私と同じ漢字が良いって言ってくれてこれになったんだっけ
…なんか、懐かしいな
口元を緩めながら來愛の頭を撫でていると
「それで、紅愛はどう思うー??」
いきなり楓に話しかけられて顔をあげた
「どうって…なにが?」
いけないいけない。すっかりトリップしてた
そういえばなんか話してたっけ?
「翔のポーカーフェイスを壊すって話」
は…?
それって楓が言ってたさっきの話?
「それやらないんじゃなかったの?」
「は?そんな事一言も言ってねーけど」
蓮サン。あなた何を言ってるんすか。
「だって翔の表情崩れるところ見たいし」
「俺も同感」
「僕も参加しようかな
滅多に見れるものじゃないしね?」
千歳サン、遥斗サン、それに透真サン。
君らは何を言ってるんだ
確かに私も翔聖の色々な表情を見たいか?って言われたら…
み、み、見たいけどさ…?
むむ、と黙り込む私に
「くくっ、決まりだな」
私の心を見透かしたのか蓮がにやっと笑って
「それじゃあ始めよー!
名前はズバリ、
総長様のポーカーフェイスを崩そう大作戦☆with輝と蒼桜!」
「「「おー!!!」」」
と、何とも不思議な作戦はこうして開始されたのであった。