【完】MOON STONE ~美しき姫の秘密~
「「「「おはようございます!紅愛様」」」」
そこには奥まで続く執事とメイドが
90°に体を曲げ挨拶をしていた
ぺこっと会釈だけをしてその間を歩き
その更に奥に向かって歩いた
すると、見えたのはダイニング
そして足を止めて軽く深呼吸をする
「おはようございます
お父様、お母様」
「「………………」」
今日も返事がない
静かに椅子を引き席に着く
なるべく音を立てないようにして朝食を取る
「「「…………………」」」
この空間の中、
フォークとお皿が触れ合う音がやけに響いた
昔はこの空気が嫌で嫌でたまらなかった
今も…嫌だけどね
だから即座に朝食を食べてこの空間から逃げる
今日もそのはずだった