「笑顔をくれた 」~ありがとうを伝えたい~
「ごめんね」

そのひと言も言えぬまま、美友とは手術室に入る前に一目会えただけでした。

その時の美友は、看護婦さんに抱き抱えられ、

「この人誰?」

そんな顔でずっと黙って私を見つめてきていた。

「ずっと会えないでいたから、分からないのかな」

そう思いながら手術室に入ろうとした時、

「ま・ま」

泣き顔の私に向かって、風邪っぴきの鼻声が聞こえた。

< 82 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop