君想い
「ひなたー、ひなたー!
 ほらっ、もう夕方だよー!」


土屋くんの大きな声で私は起こされた。


目を開けるとすぐ目の前に顔、、、


土屋くんの顔があって驚いた。


目を見開いたまま動けなくなって


急なことで悲鳴も出なかった。


そんな私に彼は、
頬に軽くキスをする。


「ひなたはずるいよね。
 教室行こ?」


そう言ってスタスタ歩いて行って
しまった。


え?


なにこれ?


キスされた?


そうわかって、今になって
顔が熱くなっていく。


ずるいってなんのことだろう。


あとできけばいっか。


なんだか、力が入らなくて

そのまましばらく動けなかった。


ようやく力が入って
教室に戻ると、もう暗くなってきていて
教室には土屋くんしかいなかった。


ふたりでカレカノらしく
手をつないで帰った。


恥ずかしかったけど、

差し出された手を振り払うことは
出来なかった。

それに私も彼氏って存在が

欲しかったのかもしれない。

願ってもかなわない恋より

近くて安全な恋。

恋…してるのかな?本当に。

でも、土屋くんの想いに
応えたいと思った。
頑張ろう。



< 21 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop