君想い
「うーん、どうしよう。

 蒼井だったら彼女にどんな服を
 来てもらいたい?」


…ドキドキ。


ドキドキとは裏腹に私と許嫁
“まゆりちゃん”を重ねてるのかな

なんて落ち込んでる私もいて。


ううん。


私は今土屋くんが好きなの。  


明日の土屋くんとのデート服を
買うんだから。


「俺好みでいいの?」


こくんと頷く私を見ていろいろな
コーデを私に渡す。


私は試着室でファッションショー笑
って何回着るんだか笑


その中で選んだのは
ちょっと上品でレトロなミニまで
とはいかないほどの白のスカート。
赤のちょピリクール柄のトップス。


「へぇ、
 蒼井ってこういうのが好き
 なんだ。意外。」


そう言って笑い、言われたとおり
くるりと回る。


「へ、好きだよ。
 かわいいじゃん。」


え?


またバカにされるかと思ってたのに
予想ははずれ。
 

そんなの期待しちゃうじゃん。


ってバカ、服のことだよ。


真顔でまっすぐ見つめる瞳が
少し悲しそうに見えて弾む気持ちも
落ち着いてくる。


期待しちゃダメだ。


「ありがとう。」


そう言って笑って返してカーテンを
閉めた。


もう限界だよ。


服は決まったし、早く帰ろう。 


切り替えなきゃ。


そう思えば思うほど、
蒼井の笑顔が突き刺さって
涙があふれる。


私が好きなのは土屋くん。


土屋くん。


これでいいんだよね…?










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