君想い
「蒼井に…私なんかつり合わないよ。」



「大丈夫。
 もう、手伝いの人たちに
 嫌がらせなんてさせないから。

 俺さ、今回学年トップとった
 じゃん?

 その後、休んでる間
 おやじの仕事学んでさ、
 正式に親父の跡継ぎって決まったんだ。
 
 だから、好きにしろって。 
 
 許嫁なんてもういない。」


また、涙が溢れてきて
どうしようもなく嬉しくて嬉しくて
もうダメだと思ってたのに…。


叶わないってあれほど思ってたのに。


蒼井は諦めないで頑張ってくれてたのに。


「蒼井っ!」


「ねぇ、
 俺と付き合ってください。

 もう、ひなしか付き合うとかそういうの
 考えらんねー。」


「う、嬉しい。」


もう涙がとまんなくて。


悲しい涙じゃなくて、
嬉し涙がこんなにも流れたの
初めてで。


もう目の前にいる君が愛しすぎて。


もう我慢しなくていいんだ。


もう堂々と普通に一緒に
いられるんだ。


もう気持ちが抑えられなくて、


「私も、すき。
 すきだよ、だいすき。」


そう言って私も強く抱きしめ返した。


もう幸せすぎて何も
考えられなかったんだ、この時は。



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