見つめられない
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「えー!すごい紳士じゃん!」
「ちょっと!声でかいから!」
今日の朝の出来事を伝えるついでに
愛美と一緒に社食に来ていた。
朝の通勤が一人でしなくていいこと。
青木さんと一緒にくるようになるということ。
自然にエスコートしてくれるということ。
少し興奮ぎみに話す愛美に苦笑いをしつつ、
お昼のカレーうどんを食べ進めていく。
「愛美も早く食べなよ。冷めちゃうよ?」
「いや、興奮するでしょ。
…青木さんさぁ…、歩のこと本当は嫌いじゃないんじゃない?」
どきっとした。
少し自分でも思い始めていた。
嫌いな相手にこんなことしないよなって。
そう思う自分もいるけど、
どうしてもあの時の言葉が離れない。