見つめられない
「…あ。」

やっぱりここだった。

…声をかけたいけどかけれない雰囲気だった。

難しい顔をして何を考えているんだろうか。

影からじっと眺めていると、

ふと顔を上げた青木さんと目が合った。

しまったと思ったけど、今更逃げるわけにもいかない。

「…お疲れ様です。」

「…あ、もしかしたら中村さん終わった?」

「はい。」

「俺、もう少しなんだ。待てる?」

「大丈夫です。」

私のせいで仕事急がせてるのではないか?

一人でもいいのに…。

「…青木さんすいません…。

あたしだったら待ってるので、ゆっくり仕事してください。」

申し訳なさそうにしてると、

「俺が勝手にしてるんだから気にしないでね。」

そういって、あたしの頭の上にいつも飲んでる紅茶の缶を置いた。
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