出会って1秒出逢いは1年


「ちとせ」

「ん?」

「……待ってろよ」

「うん」


ほっとしたような顔をして千種は出ていった。だけど玄関から言い争うような声がする。

……束の間考えたけど、ベットから降りて玄関を覗いた。

そこにいたのは合コンから帰るときにぶつかった人だった。

「……送り狼」

「襲ってないから」

「ふーん、なら別にいいじゃん」

千種の力が抜けた一瞬を見計らって早々に部屋に入り込んだ。

「あ、おい伊月」

「ほら、あんたも薄着でここいたら風邪引くでしょ」

伊月と呼ばれた彼に引っ張られリビングに入ると、彼はぱっと手を離してキッチンに入り がさごそと冷蔵庫を漁って勝手にミネラルウォーターを取り出すと一口飲んでソファに腰かけた。


「伊月!!なんでちとせの家知ってんの」

いつのまにかに戻ってきていた千種が問う。

「……教えてもらった」

「だれに」

「送り狼になってないか確かめてこいって」

「なんだそれ…」

頭を押さえて深いため息をはいた千種はその場にしゃがんだ。



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