出会って1秒出逢いは1年
「ねえあんた、」
沈黙が破られ聞こえてきた声に千種から視線を移す。
「……ふぇ?あ、はい?」
「ふぇって、………いや、あんたこいつに襲われなかった?」
伊月と呼ばれた彼が指差す先に顔を向けると、そこには千種。
「……おそう?千種が?」
なんのことだろうと伊月の言葉を反芻する。
「……あんたそれ、わざと?いや、素か」
ふっと初めて笑みをこぼす。
「千種、汚すなよ」
僅かに目を細め千種を視線の先に据えた。
「……分かってるよ」
彼らの会話を理解出来ずにぼーっとやり取りを見ていた私の目の前が急に暗くなって、気づくと背中がひんやり前には天井と伊月くんの顔。
「わあ。びっくりした」
「……あんた本当にそう思ってるわけ?」
伊月くんが苦笑しながら言う。
「それより、今の状況見て何とも思わない?」
「…………ん、?これが世に言う床どん?」
「ふーん、それは知ってるんだ」
「楓ちゃんたちが話してたので」
「じゃあこのあとのこともわかってる?」
「このあと…?」
「はあー、あんたさ純粋すぎるのも如何なものかと思うよ」
まあいいや、
口の中でもごもご独り言を言う伊月くんが私とぴったり視線を合わせてきた。