恋は盲目〜好きって言ってよ

今まで面倒な関係を避けてきた。


付き合う女も後腐れのない関係。


それが、今までの俺…


彼女はそんな俺が簡単に声をかけていい

女じゃない。

彼女は今までの女達とは違う気がする。


いや、声をかけるのをためらっていた。


彼女に、嫌われたくないからだ。


ある日、駅で彼女を見つけると同じ車両

に乗り込み近くから見ていると隣に座っ

た男にお尻をなでられ困惑している。


そんな彼女を見つけたとき近づくチャン

スだと思った。


男に威圧的に声をかけ捕まえた。


が、その時立ち上がろうとする彼女がバ

ランスを崩し倒れそうになる…慌てて彼

女の体を支えようと男の手を離してしま

った。


逃げて行く男を追いかけようとするが、

腕で支えている彼女の体がとても震えて

いた…


震える彼女が愛しくて抱きしめたいと葛

藤しながらも、彼女の顔が目の前にある

ことをいい事にふっくらとした可愛らし

い唇にキスをしたいという衝動にかられ

る。


彼女の唇にこのまま触れたい…

だか、ここは電車の中…


他にも、乗客がいる中で俺からキスをす

ればさっきのチカンと変わらない。


理性が勝ちおどけてみせる。


「助けたお礼にキスでもしてくれるのか

な?」


頬を赤く染め、体が離れていく彼女から

優しい香りが鼻をくすぐる。


なんの匂いだろうか?


そして彼女の温もりが体に残っている。


恥ずかしがる彼女が愛おしい。


かわいいと言えば頬から伝染したかのよ

うに耳まで赤くなる。


本当になんてかわいいんだ…


このまま連れて帰りたいと思ってしまう

だか、まだだ…


彼女とは行きずりの関係で終わらせたく

ない。

そのためにも、時間をかけて彼女を落と

していく。


だから、『またね』といって別れた。


どんな女も彼女の代わりにならない…

このチャンスを逃すものか

必ず、振り向かせてみせる


彼女に忘れられる前にさぁ、行動開始だ


******************


仕事を定時で終えた今日は、彼女の働く

紳士服売り場へ向かった。


服を見る振りをして彼女に近づく…


残り一つのシャツを持ち声をかけた。


驚いている彼女…


それはそうだろう…確信犯なのだから…


忘れた振りをして彼女をからかうと、始

めて見る怒った顔の彼女…
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