恋は盲目〜好きって言ってよ
忘れられない男

彼との熱い夜を過ごしたあの日から、一

週間たった。


たった一週間…だけど私には長い一週間

だった。


毎日、毎日彼だけを思って返さないとい

けない服を抱きしめ眠りにつく毎日。


彼の移り香が残っていたのに今は消えて

しまったシトラスの香り…


こんなに辛いなんて思わなかった…


あれから、一度も彼はお店に来ない。


やはり、一夜の関係だったのだ。


すぐに忘れられる…そう思っていたのに

思いは募るばかりだ。


会いたい…


あの日、逃げ出さなければよかった…


帰ります…


ただ一言メモを残して。


電車の中、駅の中、コンビニの中、彼の

姿を探す…


が、彼はいない。


仕事中、よく似た声が聞こえるとドキッ

とするがそこには彼はいない。


会いに行けばよかったのだろうか?


自分から会いに行く勇気もないくせに、

もしかしたらなんて…淡い期待をしてい

た…


朝、彼の横で一緒に目覚めたら変わって

いたのだろうか?


あれから一ヶ月近く過ぎたある日の朝、

いつものようにロッカールームで着替え

ていると早希が話かけてきた。


「奈々、今日の休憩一緒に上いかない」


「うん、いいよ」


「じゃぁ、後でね」


最上階のラウンジで食事をとっていると

突然、早希がつぶやいた。


「ねぇ、奈々…今度、合コンあるんだけ

ど参加して欲しいの」


「えっ、合コン⁈」


今は、彼以外の男性なんて…


「お願い…ミス,七夕も連れて来るって

つい、言っちゃたの。」


そう、ついこの間ビルのオーナー主催の

浴衣を着たミスコンが行われ、スタイル

のいい綺麗な女性たちを押しのけてなぜ

か私が選ばれた。


理由はきっと日本人体系だからと思う私

に早希は、奈々は自分をわかっていない

という。


(奈々は無自覚なのか自分の評価が低い

)とため息をつく早希。


「ただでさえ、同僚の花村さんから嫌味

を言われて彼女を選べばよかったのにっ

て毎日思っていのに話を広げないでよ」


そう、背の高い美人でスタイルのいい花

村さんが選ばれると誰もが思っていたは

ずなのに…


「その気持ちはわかるけど奈々が来ない

と成立しないの…せっかく、イケメン揃

いの大手企業と合コンできるのに、奈々

が来ないと私嘘つきになっちゃう」


私の気持ちをわかっているのかいないの

か⁈


必死に懇願する早希に根負けして一次会

だけだと約束して当日を迎えた。
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